全日本女子バレーボールと中学生

全日本女子バレーの試合を見ている。先日、サッカーのブラジル戦で同点にした試合を見たが、ここのところスポーツが熱くて楽しい。


バレーボールの選手がボールを扱うと、ボールを手ではたくたびに「バン!」という歯切れのいい音が鳴る。これがなんとも気持ちいい。女子の場合、特にパワーある外国人選手がいい音を立てる傾向があるが、日本人選手も最近は負けていないように思う。

そういえば昔、私も中学高校の体育の授業でバレーボールを習ったことがある。だが、その記憶は散々な内容ばかりだ。

素人がボールを叩くと、あの歯切れのいい音は鳴らない。特に中学生がバレーボールに初めて触れたとき、テレビに映る「カッコいいポーズ」でスパイクを打ちたくなって真似をしようとするのだが、実力が伴わないためにことごとく失敗する。しかも失敗の仕方が猛烈にかっこ悪い。

バレーボールに触れたばかりの超初心者がスパイクを打つと、「ぺちっ」「ばちんっ」「スカッ」の三種類しか音が鳴らない。それどころか、試合ではスパイクなど打ちに入れない。大抵はレシーブで拾おうとして落とすか、二回目のフォローであらぬ方向にはじいてしまう。

うまくレシーブで拾い、トスまで持っていけたら最高だった。しかしトスをしようとしても、慣れていないためにうまく上がらない。「うおりゃあ!」と気合いと共にトスを上げても「べちっ」と父親に息子が頬を殴られたような音が鳴って、真上に一メートルくらいボールが上がるだけ。これでは中学生がスパイクなど打てるはずもなく、そのままボールを落として失点してしまう。

無事、スパイクに持っていくことができたら凄まじい戦果である。かなりヘロヘロになりながらジャンプしてボールをはたくと、やはり「べちっ」と音がして、二メートルくらい先の相手コートに突き刺さる。相手もヘナチョコだから当然拾えない。それを見て味方からは「うぉぉぉ!!」と歓声が上がる。もはや得点など関係なし。ボールをスパイクで相手陣地に落とすという「神業」を見ただけでみんな満足なのだ。

私の記憶では、そもそもトスを上げることなどなかった。レシーブで返そうとして、偶然、前衛の真上にボールが飛んできたら強引にジャンプしてそれを叩くという感じ。しかも手がネットの上まで届く人はほとんどいなかったから、これが現れるのは一試合に二発くらい。二回も試合中に歓声が上がれば、その試合内容は完璧と言えた。

勝利に勝つためにもっとも重視された作戦は、「レシーブのみでボールを返すこと」だった。レシーブで返したヨロヨロのボールでさえ、お互い拾えないことがあるから、とにかく相手コートに返しさえすれば得点になる。

逆に、無理にトスを上げに行こうとして失敗すると、味方から罵声が飛んだ。「レシーブで返せよ!違うことやったって、どうせ失敗すんだからよ!!」とトスやスパイクが封じられた作戦。しかし、そうすることで試合には勝てる。こうして「レシーブだけで進めるバレーボール」が中学生の間に定着するわけだ。

おっと、一応サーブについても触れておこう。やはりサーブも、オーバーハンドで打つときは「ぺちっ」の法則が成り立つ(法則でも何でもないが)。それだと、まったく相手コートに届かないので、アンダーで打つことが決まりになる。たまにかっこつけようとするお調子者が上から叩いて失敗して、みんなに罵声を浴びる。こうして、みんな幻想を捨ててアンダーハンドに切り替えていき、現実的なヘボバレーを続けるのだ。

自慢ではないが、私は下から打つサーブをコート外に落としたことがない。どうだまいったか!


こうして思い出してみると、中学生って本当にバカ無邪気だなと思う。

…え!? すぐ近くに十年以上経っても精神年齢が変わらないヤツがいる?

誰のことでしょう、はぁ。