2段モーション禁止の話

プロ野球のルール改定により、来季から、投手の投球動作における「2段モーション」が禁止されることになった。このことから現場では、戸惑いというかかなり怒りの声がある…と、マスコミで報じている。

中日岩瀬、反則指摘に「野球にならない」
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-051030-0021.html

牛島監督心配「フォームに個性消える」
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-051030-0024.html

巨人上原「基準示して」2段モーションで
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-051030-0019.html

私は、以前からこの「2段モーション禁止」ルールに賛成だった。理由が個人的なものばかりであることが心苦しいが、以下は正直なところである。

  • 2段モーションは見ていて見苦しい。好ましくない。こちらが期待するタイミングでボールを投げ込まない投手は、見ていて小さな違和感と不快感を呼ぶが、これは2段モーションを行う投手特有の問題であると感じる
    • まったくテイストの異なる例えになるが、勧善懲悪ストーリーを求められる『水戸黄門』で、黄門さまが敗北を喫して終わってしまうストーリーを見せつけられたら、やはり不快感を呼ぶ人(興味を失う人)が多いだろう。2段モーションに対する私のイメージは、それに似ている。つまり、私が“野球に期待していない無意味な動作”なのだ。あの“間”が非常に蛇足に思える
    • 極端でなければOK。上原のモーションなど全然気にならない(しかし、記事を読む限り、彼のモーションもNGと取られることがあるようだ。確かに厳しそう)
  • 野球を嫌いになる決定打にはならないものの、露骨にモーションを停止させる投手を、私が好きになることはない
  • 投球フォームの個性よりも「スムーズな投球動作」を重視して欲しい

前述の記事を見る限り、新ルールが厳しすぎるとの声もある。それに、線引きをきっちりして欲しいことについては私も同感。

ただ、体育会系出身の性か、この手の変更に血の気の多い人たちがだいぶ過敏に反応しているような印象は受ける。彼らがあまり醜態をさらしていると、私はその人たちを嫌いになっていくと思う。

私だって、コンピュータ関係の仕事をしていて“このルールとシステム作った奴誰だよ!?”と愚痴りたくなる開発現場に幾度も遭遇してきたが、逆に、千差万別の状況に適応できる人間こそがプロなのだと信じて、ずっと追従する努力をしてきた。今では逆に、逆境に身を置かせてくれた当時の現場に感謝しているほどだ。プロ野球の関係者もプロとしてぜひ、適応能力の高いところを見せて、来年もまた綺麗な投球フォームを見せて欲しい。

気持ちは分かるし、ルール追従は大変なことでしょうけど、フォームを変えたくらいで、小学生に見放されるようなスポーツではないですよね、野球は。もっと大きなところに思い入れを持って欲しいです。