貴重な大学の研究室体験

学生時代、一度だけ教授の研究室に入れてもらったことがある。教授にはとても貴重な体験をさせていただいており、そのときのことは今でも鮮明に憶えている。

その日は期末テストがあるというのに遅刻してしまい、すでに後の祭りになってしまったテストを受けさせて欲しいと、図々しくも研究室に頼み込みに行ったのがきっかけだった。

遅刻については謝り、追試を依頼したことで、テストはちゃんと受けさせてもらえたのだが、話が長くなるのはその後のこと。

終わったテストの提出がてら、私は教授に「お前、ちょっと見ていけ。勉強になるぞ」と言われて、その日は研究室に留められた。学生としては、教授に勉強になるからと言われて、断るわけにもいかない。私は促されるがまま研究室の椅子に座って、一対一の“特別講義”を受けることになる。

相手の教授は情報処理関連の専門だったから、当然のように研究室にはパソコンがある。当時はWindows95が出るかでないかという時期で、インターネットの普及率があまり高くない時代。教授のマシンには、WebブラウザとしてはMosaicを超えるという、当時センセーショナルな売り出しをした噂のNetscapeがインストールされていた。もちろんIEのない時代だ。

そして、そこではじめて私は、ナマのネットエロ画像を見たのだ。

インターネット普及の原動力はエロだ。大量のエロGIFやJPEGがあるからこそ、ネットは普及する。そんな話を始めた教授は、やがて自らエロサイトに接続して、それを私にみせてくれた。

教授はこうおっしゃった。

「こういう画像がネットで一番人気がある。ほれ、(女性局部のモザイク部分を指差しながら)この部分がね、丸出しになっている画像もあるんだよ。……おっと、ちょっとコーヒー入れてくれ」

見せられて、私のサガが見事に反応する。

「おおっ、素晴らしい!これ、コピーしてくださいよっ」

まるで高校生同士の会話であるがそんなことは気にせず、コーヒーを飲みながら二人でネットエロ談義に興じること数時間。普通にテストを受けていれば午前中に帰宅できたはずのこの日、とうとう研究室で夕食時を迎えてしまった。

テストに遅れたおかげで、たっぷりエロ講義を受けた上、土産物のCDをいただいてしまい。とてもいいことをしてもらった。これが私にとって、はじめての研究室体験となった。在学中、もっとも大学が素晴らしいと感じた瞬間である。

ちなみに、その教授の単位については、A〜Dの四段階評価の中で見事にAをいただきました。きっとあの日、教授の授業を真面目に受けたからだろうなぁ。やっぱり真面目が一番ですね。テストに遅刻しても取り戻せる。

というわけで、貴重な大学の研究室レポートでありました。