男たちの大和/YAMATO

男たちの大和。録画してあったものをようやく視聴。

久しぶりに面白い日本の戦争映画を見た。ここ十年くらいで日本で作られた中では、一番気に入った。

エンターテイメントとしては、だいぶいいまとまりを見せている。描写がリアルかどうか、正確なところは私も確認のしようがない(手元の資料、伝え聞く話、ネットで調べられる程度の情報は、この水準の細かい描写になると正確性に欠ける)が、ひとつの創作物としてまとまりがあることが大前提だ。とにかく、我々が最後まで見ることができるか、それが重要だ。

それと、タイトルと中身が合っている。エンタメとしてできの悪い映画に、いくらメッセージ性を詰め込んでも萎えるだけだが、『男たちの大和』は作者の主張よりも先に、作品のテーマが存在感を見せている。これも重要なことだ。作品の表現が成功をおさめた中に、メッセージを織り込むことで、ようやく人の心の中に入り込んでいくのだと思う。

他に細かいところでは、昔らしい雰囲気をそれなりに描写できている。当たり前のことなのだが、平気で雰囲気を台無しにする映像の方が最近では多いので(昭和二十年に茶髪娘が登場するとか……勘弁してくれ)、『男たちの大和』もそれなりに気になるところはあったが、ここ数年で見たドラマと比べたら雲泥の差に見えた。それと、役者の演技が全体としてはいい。


どうでもいいけど、お爺さん役として出演した仲代達也さんは、かつて『二百三高地』では乃木希典役をやっておりましたな。ずいぶんと昔の映画だけど、乃木希典は五十歳くらいの役だから、時代がスライドして今回、八十歳くらいの役をやるのは妥当といえば妥当。ただ、弱々しい老人の役になったから、時が流れたなぁという感じを強く受けた。

あと、最近の戦争物というと、硫黄島絡みの映画をまだ見ていないので、そちらもテレビで早くやらないかなぁと待ち続けている。