キャラクタの能力値に注目するゲーム

多くのスタンドアロンのゲームでは、キャラクタの能力値に意識がほとんど向かない。

ここでいう能力値とは、キャラクタのパラメータ画面で数値で表示されるパラメータのこと。ヒットポイント、マジックポイントは除く。

ゲーム別に思い出す

  • ドラゴンクエストシリーズ
    • 装備を変更する際に、パラメータの相対的な変化に着目したが、それ以外ではあまり興味が向かない
    • 職業(キャラクタ)で値の大小が決まってしまい、成長の仕方を工夫できない
      • いわゆる「ドーピング(強化)アイテム」は出現数があまりにも少なく、全体に影響を与えない
    • 同シリーズに限らず、多くのRPGにありがちなケース
  • ウィザードリィ
    • 絶対値が小さいため、パラメータの大小が一目で把握できる作りになってはいる
    • 最終的に全パラメータが18になるから、値の差を認識するために目が向かない
    • 数値を操作できないこと、上限に達するまでの時間がそれほどかからないことから、育てる意識が生まれない(普段は意識しない。レベルアップの時に、上がるか下がるかを意識するのみであり、普段はパラメータが表示されていなくても困らない)
    • レベルに比して、パラメータが戦力に影響する量が少ないため、値の存在価値が低い
  • ファイナルファンタジー
    • 能力値の強化アイテムが多数登場するため、シナリオの過程で特定のキャラクタを強化することができた。しかし、大半のプレイヤーは強化アイテムの将来的な出現量を予測できないため、使い惜しみをしたまま最後までゲームを進めてしまう傾向がありそう
    • やりこめる人にとっては、能力値とにらめっこする楽しみがあるかもしれない
  • ファイナルファンタジー
    • キャラクタが身につける要素の組み合わせにより、値が劇的に変化する。最適な組み合わせを研究する(しかし、大半のプレイヤーはオートでジャンクションするのではないか)
    • キャラクタ間の差がほとんどないこと、レベルアップしてもあまり成長しないことから、育てる感覚が薄い
    • うまく攻略すれば強化アイテムを入手できる、もしくは能力値を成長させられるが、やりこみの領域

ファイナルファンタジー8の形が、経験した中ではもっとも能力値に目を向けるよう仕向けられていた。…が、キャラクタがみな似たような数値を持っている(キャラクタごとの特徴が薄い)ため、能力値とにらめっこする楽しみは薄い。

思ったこと

  • 眺める価値の薄い能力値は、プレイヤーにとっては無駄な情報であり、画面に表示するために必要とは感じない(たとえばドラクエシリーズでは、装備を変更するときや、購入するときに表示されていればよい)
  • たまに能力値を眺めるとき、その目的は「他のキャラクタや能力値より相対的に高い値はいずれか」を見出すためである
  • ウィザードリィのように、全パラメータが18のキャラクタが出来上がってくると、それを眺めながら悦に浸る楽しみ方もある

結論

極端だが、パラメータゲームを作るとすれば、こんな感じにすべきだろうか。

  • ほかより高い値は見せてやれ、褒めてやれ
  • ほかより低い値は表示するな

ファイナルファンタジー7,8のように、アイテム等によって能力値を強化するゲームでは、明確に成長分をはっきりさせておく方がよい。

  • 全パラメータは基本的にゼロ。成長した差分だけを表示してみる

落とし穴

パラメータ面から、戦力のボトルネックを解消していく形で遊ぶようなゲームを遊んだことがない。そういうゲームは存在しないのかもしれない。

多くのゲームにおいてプレイヤーが考える“育成”は、大半が「長所をより強化する」もしくは「全体をより強化する」となる。

だから、プレイヤーがパラメータ一覧画面を表示させたとき、最大値に近い能力値を満足そうに眺めても、最低値に近い値は無視する。ドラクエ3の戦士のパラメータを見たとき、真っ先に「かしこさ」に目がいくことはない。……まぁ、苦笑するために意識して見にいくことはあっても。

  • 理由1。弱い部分を無くそうとする試みは、効率の悪い育て方、という印象があるのだと思う
  • 理由2。弱い部分をなくす構造を是としてしまえば、それは最終的にオールマイティの戦力を育てるゲームになりやすい。育てきってしまえば結局、パラメータに対する魅力が薄れる

だから、低い値は表示する必要がない、という極論もあり得る。

しかし、弱点を克服する育て方が主な遊び方になるゲームがもし存在するとすれば……、低い値を表示しないことは、落とし穴となる。


オンラインゲームではまた別の見方がある。オンラインゲームは、むしろ能力値ゲームばかりと言えるかもしれない……。