課題から見えたこと

なるほど見えてきたぞ。能力値の成長ルールの件。前回の記事はhttp://d.hatena.ne.jp/kumashige/20080320/1205950771

結論は5択で成長ルールを実装すること

  1. 成長しない
  2. レベルが上がったとき、能力値に上昇ボーナスを手で割り振る
  3. レベルが上がったとき、能力値がランダム幅で上昇する
  4. 能力値はレベルと職業によって値が決まり、加工できない
  5. 使った能力値と、それを構成する能力値が上昇する

ひとまず一番目と二番目の二択で入力してもらうことにしよう。機能は既存のままだが、これまで入力項目が曖昧だった。

UOの他、大きく分けて三つに大別してみた。

A.能力値の成長具合がランダムもしくは手動割り振り

Aは、冒頭の選択肢では2番目と3番目にあたる。ゲームではウィズとDQ3とディアブロ。成長対象の能力値と幅をランダムで、もしくは手動で決める方式。ランダムも、すでに運用されている手動割り振りも、作りはほとんど同じだと思う。

Aは能力値の変化予測がつかないことがウリ。力の強い魔法使いや、頭のいい戦士に何らかの活躍の場があると効果が高いかもしれない。で、そこまで作り込まれている例は見たことがないので、見てみたい。偶然IQが15を超えてしまったファイターが、誰かが作るウィザードリィオマージュでどんな役割を果たすのかを見てみたいという気持ちを込めて(使われるのか知らないけど)。

Aの場合、「成長(いわゆるドーピング)アイテム」も使いどころがあるはず。

B.能力値がレベルに応じて固定

Bは、冒頭の選択肢では4番目にあたる。ゲームではFF3,7,8とDQ1,2,4と世界樹の迷宮。能力値を弄ることができないゲームだ。

能力値を変更できない、はこの際欠点ではなく特徴になる。作りやすさとわかりやすさを重視し、キャラクタのカスタマイズ機能を犠牲にしている。装備アイテムの変更および転職以外に、パラメータを変更する術がない。これが重要。

能力値は完全なるお飾りにして注意を向けさせないか、能力値を激しく上下させる装備アイテムの組み合わせで遊ぶゲームにすること。そういう意図を見せる必要がある。FF8は後者の点でかなり作り込まれている。

また、世界樹の迷宮は能力値にほとんど注目が行かない。世界樹の場合、能力値について考えなくて済むことが特徴なんだろう。それが魅力的かどうかはともかく、開発者がわざと能力値のカスタマイズを避けたことは伝わってくる。世界樹では値選びよりも技選びの方が重要ということ。となれば、数値に代わりプレイヤーが意識する成長要素がどこかに必要になるんだろう。それを必殺技レベルと呼ぶのか技能レベルと呼ぶのかは知らないが、どのみち数値で管理する以上は能力値であることに変わりがない。表現の違いがあるのみだ。能力値を利用して、表現を変える選択肢を幾つか用意する、というヒントが得られた。

C.使った能力値と、それを構成する能力値が上昇する

後述するがロングソードさんのサイトに従量制という言葉が出てきていた。私がイメージしているものはUOのシステムだが、おそらく近いものがあるのだろう。

すでにできているのと、実はDesigeonの初代バージョンでは間違って稼働していたのだが、編集機能はいったん封印して将来の種に戻す。

ついでに気づいたこと

アイテムで追加成長する例がある。本来はレベルアップしないと増えないはずの能力値が、アイテムを使うことで永久に1ポイント上がるとか、HPの上限が10上がるとか、そういうやつ。これを仮に「成長アイテム」と呼ぼう。いわゆるドーピングだ。

Aの場合はドーピングとの相性がさほど問題にならない。もともと能力値が可変なので、いつも成長させるときに使っている変数にドーピング値を足せばいいだけだ。前述したとおり、Aは成長アイテムを積極的に使えるかもしれない。

しかしBに属する今回の事例において成長アイテムによるドーピングができるのは、転職がない例に限られている。Bの場合、レベルによって能力値が確定するところが「特徴」なのに、ドーピングを導入するとこの特徴が薄められてしまう。あとからキャラクタごとに個性が出てしまうなら、はじめからランダム成長にするかボーナス割り振りをさせるゼと。転職が入るとなおさら曖昧になる。

  1. B.能力値固定+アイテム成長
  2. B.能力値固定+転職

この二つは相性が悪い。少なくとも前回の記事に挙げたゲームにはごちゃ混ぜになっているものが出てこないし、よく考えてみれば相性が悪いことが分かる。なぜか。だってキャラクタの変化はレベルアップと転職で生むんじゃないのか?戦士なのにアイテムで賢さを上げられるの?なんてことになる。固定値がウリの仕様にとって、成長アイテムによる個性のカスタマイズができてしまうと意味が曖昧になってしまう。

そんなことを思った。でも本当は、開発者各位はそんなことを意識していないかもしれない。ただなんとなく思いついた場合にだけ成長アイテムを盛り込んでいるのかもしれない。成長アイテムが使われてる事例はそれなりにあるけど、そこが重要になっているRPGは見たことがないなあ。とにかく経験値稼げってゲームが大半。

いろいろ考えてみて

AとBとCは相性が悪いと思うなあ。二つ以上を同時に選ばせないほうがいい。冒頭の五択に分けるのが妥当だろう。

フォローをいただいた

頑張ってクソゲーを作成しているという鈍器のロングソード氏にフォローをいただきました。ありがとうございます。私も負けないよう頑張ります。

サガシリーズの中の従量制という記述がだいぶ目立つ。シリーズの伝統だろうか。右腕と左腕、使った方の腕が強くなっていくという感覚は、ある種の人にとっては常識なのかもしれない。

転職については、それ自体が希少な概念な気がする。ファイナルファンタジーシリーズはいつから転職がなくなったんだろう。テーブルトークだと転職を制度化することを頭に入れていないことが多い感じ。私が見たのはハイパーT&Tが最後かもしれない。