初心に戻るということ

初心だった昔に帰れれば、大変だが楽しいに違いない。そういうことを言う人がいた。

確かに「何事も初心に戻れ」とはよく言われる。

放送し始めのあの番組を見ていた頃や、初めて自転車に乗れるようになったとき、今では簡単なレシピにも必死になっていた当時の料理、友達と競って攻略したゲームなど、若き日のあの頃に戻れればなんと充実することか。

初心に帰れるといいなあ思う事例に最近、よくお目にかかる。

例えば、家では姪が駆け寄ってきて、こう言われるのだ。

「あーちゃん。うんちー。うんち出たー!うんち出たよ!」

いつもの時間に出た普通のうんこ。排泄に成功した感動を周りに伝えようと彼女は必死に駆け、手を握り、目を輝かせて報告に来るのだ。

生物なら誰でもする排泄という行為を達成し、全身でもって喜びを表現するまだ二歳の女の子を見て私は、初心という言葉の意味を思い知る。

真の初心とは、生まれたばかりの頃に帰ることなのだろう。初心に戻れと言われたら赤ん坊よろしく、頭を空っぽにして、我が儘いっぱい相手に甘えろということかもしれない。

「あれ食べたーい!」「仕事?できなーい!」「遊ぼ!」とか言って、だだをこねてみるのはどうか。

どうでもいいが、オムツ換え中の無防備なときに狙ったかのように追加で小便をするのはやめてくれないか。