地下の深さと怖さ

テレ東「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」という番組が面白くてつい見てしまった(決して、番組中の効果音にKSDungeonと同じものが使われているからではない)。実は別チャンネルでD&Dをやっていたのでそちらを見るつもりでいたのだが、そちらは録画に任せてしまった。ああ、またハードディスクの容量が食いつぶされて、整理に苦心するのか…。

さて、テレビが元の話題だが、今日の話はゲームである。番組の中に、国会図書館をとりあげて中の機能について紹介する部分があって、そこから思いついたことがある。

国会図書館は地下8階まであり、その中に(膨大な)国内の出版物すべてを管理するという用途の紹介があった。スタッフがエレベーターで地下8階まで潜っていく様を見ていると、地下奥深くに潜っていきゴールを目指すゲームを思い出す。私の中ではウィザードリィを真っ先に思いついた。あれは地下10階まであるゲームだったが、番組を見ていたら、かつて心臓を高鳴らせながらフロアを下っていった頃の興奮を思い出してしまった。

ウィザードリィは一フロア降りるごとに敵のモンスターが強力になり、一つのフロアを探索しきるのに非常に時間が掛かる。その他、様々な要素が絡み、難易度の高さも手伝って“深く恐ろしい場所”というイメージが植え付けられている。

ところが、8階分の高さというと、たかが奈良の大仏二個分なのだそうだ。番組内ではいかにも深い場所にあるかのように紹介されていた国会図書館だが、「ウィザードリィの地下10階は奈良の大仏二個分よりちょっと深い深さ」と表現されてしまうと雄大さが損なわれ、狭くて貧弱な世界に押し込められたかのようでがっかりしてしまう。何しろ、ウィザードリィの迷宮は「富と名誉を求めて集った何人もの勇者たちが降りようとして、ことごとく失敗した」という設定があるほど恐ろしい場所なのだ。にもかかわらず「じゃあ、大仏様を二つ降りればワードナ(敵のリーダー)がいるのか?」という話になる。

でも実は、ウィザードリィの一階分は異常に分厚いのかもしれない。一フロア百メートルの厚みがとられていたならば、深さは一キロメートル。これならば、私が子供の頃に抱いた“深く恐ろしい場所”という地下10階のイメージが復活してくる。しかし、ゲームの画面上からは、それほど天井が高いイメージはない。

それにしても、かつて私が“深く恐ろしい場所”という印象を植え付けられたのにはどこに原因があったのだろう。たかが十階分であるにもかかわらず、なぜか私の中では無限とも思える重厚なイメージがあるのだ(ウィザードリィの続編ではフロア数が減らされており、初代ほどの深さは感じられない。初代が特別なのだろうか…)。

地下に潜っていくゲームの怖さというものを、改めて考えてみたくなった。