生きているだけで不健康!?

健康診断の基準策定のお仕事に携わっていらっしゃる方々には申し訳ないが、記事を見て思わず吹き出してしまった。

08年新基準で判定なら…男98%女92%「不健康」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061018it06.htm?from=rss

まだ暫定基準ではあるものの、2008年度から導入する健康診断の基準では、男は98%が何らかの身体的不健康を抱えているものと判定される、と。

まぁ医学的指導のために検査を行うことはやむなきこととして、“不健康のきざし”のある人を調査するだけであれば、要するに調査の必要すらないということになる。

どうせ国民を安心させたいなら“生きているだけで不健康”という指標を一つ設けてみるのもよろしいんじゃないかと。老化は誰しも進む。老化そのものを不健康の第一定義とするならば、健康な人間などいないという認識を持てるので、逆にみんな安心するんじゃないかな。

食い過ぎにせよ喫煙にせよ運動不足にせよ、“不健康になるような生活をすることが幸福ならば人生それもヨシ”といったような考え方の是非についても議論を行い、元来の健康基準と結合して診断を下すようにしないと、私のようにちょっと咳をしただけで、祖母に“お前は結核なんじゃないか”なんて疑いをかけられるようなことになりかねない。

そもそも身体的な健康問題と、人生の精神的充足について、両者を完全に切り離して考えることなんてできるのだろうか。片方だけを考えてしまうから、記事にあるような極端な結論に達してしまうのではないかな。

医学という立場から、肉体と精神を包括的に語るというのは難しいことなんでしょうか。メンタルケアの重要性の方が高まっている時代に思える。