働きマン・デスノート・亡国のイージス

最近視聴したテレビ番組について、まとめて。

働きマン(アニメ)

女性の元気な働きっぷりを表現し、職場の(このアニメの場合は雑誌編集関係の)人間模様を見せたり、サラリーマンが一生懸命に働くことの意義を問いかける内容のようだ。

きわだって心に残るアニメではないが、サラリーマン向けの内容としては興味深い内容だと思う。絵が綺麗で見やすい。ただし“仕事の話をプライベートタイムに持ち込むな!”という人は見ない方がいい。

私個人はというと、主役の「働きマン」こと松方というスーパーウーマンに共感するところもあり、嫌悪するところもあり。主役よりそのまわりの反応の方が面白かったり、共感が得られることもあって、必ずしも物語の主旨に沿って観賞できているとは限らないのだが、それなりに楽しめている。

働きマン』で表現している登場人物や職場の形は、ときに現実的でもあり、ときに非現実的でもある。かすかに郷愁は誘うものの、自分からは遠い場所。この微妙な距離間がフィクションとして触れやすくする要因になっているのかもしれない。

実際に、カリカリしながら凄まじい働きっぷりを見せる人間というものは、どの職場にもいるものだが、その企業戦士たちが、人生においても職場においてもそうそう“成功”を納めるとは限らない、そして葛藤を抱えているとは限らないのが日本の職場事情だったりするもので。アニメで見せる職場の、あるいは仕事の形を、単純に視聴者の領分と比較してはいけないアニメであり、ある意味危険ではあるかもしれない。

そもそも、働きマンの主役はまだ若く、美人で、しかも運と才能に恵まれている立場の人。しかも上司は有能のようだしかっこいい。はたして主役まわりの行動であるとか、彼らの心情であるとかにスポットを当てることが、視聴者との比較になりえるのか、あるいは働くことの意義を問いかける内容として適切であるのかどうか。松方という女性の影響があまり大きなものにならなければ良いが、とつい無用な心配をしてしまう。『働きマン』はマンガであり、本質的にはファンタジーであるのだから。

観賞しながら、ああ、わかるよ、その通りだ、と思うこともあれば、ありえねー、できすぎ、とフィクションドラマとして受け止めることもあり。微妙なラインを行ったり来たりする内容には、昨今の映画やマンガにない新しさを感じる。

しばらくは追ってみたいと思う。

デスノート・前編(映画)

話題作だったので録画してみた。あるノートに死んで欲しい人の名前を書くと、その人が本当に死んでしまうという話。

漫画原作で、アニメも放送しているようで、アニメの方は先日、少し見てみた。

今回テレビで放送された「前編」は、途中まで家族で見ていたのだが、面白くなかったのでチャンネルを変えてしまい全部は見ていない。

設定の着想は面白いが、いささか表現が大衆向きでないように思う。これがなにゆえ流行ったのかは知らないが、少なくとも私のまわりに好きだという人はいないようなので、またネットを中心に膨張したバンドワゴンの一つであろうか。知名度は高いが。

私の場合、アニメを見ながら『スプリガン』を思い出してしまったのだが、これはなぜだろう……。ひょっとして雰囲気が似ているのか。そもそも『スプリガン』はあまり好きな方ではなかったので、そのあたりに相性の悪い理由があるのかもしれない。

一応録画はしてあるので、保存だけしておこうかな……。

亡国のイージス(映画)

イージス艦が好きな人は必見だと思う(……が、イージス艦好きがこの映画を知らないはずがない)。邦画としてはかなりの大作。物語は、あまり一般向きの内容には思えないが、まあまあ楽しめた。

凶悪な兵器を手にした犯人がイージス艦を乗っ取り、日本政府を恫喝する。そしてひとたび退艦させられた主人公が艦に舞い戻り、犯人グループの暴走を阻止しようとする、というストーリー。

ハリウッド的な要素を盛り込んでおきながら、アクション面でハリウッドにはかなわないという、少し中途半端な印象の残る内容になっている。話は分かりづらい。

登場人物の背景にあるものがよく見えず、彼らに感情移入できない点は、日本映画らしからぬ内容になっていると思う。単に説明不足とも思えるし、アクションを重視してそのあたりを軽視したともとれる。『亡国のイージス』には原作となった小説があるようだが、この手の移植は大抵、映画を作るときに、二時間半の枠に元の内容を収め切れていないケースが多く、亡国のイージスについてもそんな感じがする。

カメラアングル、ノリやテンポ、血の流れ方などは和風。物語の中盤は、任侠ものか警察ものを見ているような錯覚に陥った。それでも、さすがに護衛艦同士がミサイルを撃ち合うシーンでは血が沸き立つ。見所はそれなりにある。

他にもいろいろ思ったことがあるが、あまり書く余裕もないのでこのあたりで。