デジタルゲームブック『荒寺の大蛇』

私は、最後まで遊びたいと思ったデジタルゲームブックがいまだ存在しない。

今のところモバイル向けのものを遊んだことはないが、Web化して、あるいはノベル作品化してPC向けに公開されているものは、どれもプレイヤーを楽しませるためのユーザビリティを持っておらず、「PCゲームとして」解釈してしまう以上はどうしても普通のコンピュータゲームと比較してしまい、結果として見劣りを感じてしまう。

と、そんなことを思う日々だが、ひとつの作品の存在を知った。NScripterのフリーウェアだ。

narratif
http://hp.vector.co.jp/authors/VA022256/
(掲載されているデジタルゲームブック『荒寺の大蛇』という作品)

サウンドが入っているため、本当にこれがゲームブックと呼べるのかは分からない。極めてゲームブックよりのノベルゲームであることは感じた。テンポ、ダイスを用いた戦闘の雰囲気、難易度、文体などは確かにゲームブックだ。

『荒寺の大蛇』の、ゲームとしての善し悪しについてはあまり感じるものがないが、少なくともワンプレイ終了時点でやめようという気にはなっていないので、実は気の置けない作品であるのかもしれない。世界観はよく伝わってくるし、お手軽感もある。これをゲームブックと呼べるならば、個人的にははじめてデジタルゲームブックに没入し、ゲームオーバーまで読み進めたことになる。

実はこのような形の作品を、実際に私も作ってみようと、かなり昔に準備をしたことがあるのだが(NScripterではないが)、すでにこれくらいのものがあるならば、話の種としては十分よき題材になると感じた。