『ラストサムライ』にひきこまれた

録画済みの映画『ラストサムライ』をようやく視聴。

最後までひきこまれた。いろいろな意味で見所あり。映画としての出来はとてもいい。

細かい設定はどうでもいい。とにかく熱く滾るものがある。日本らしくない日本が描かれているのに、日本人向きだと思う。

ただし『ラストサムライ』は、時代劇として見てはいけない映画だ。歴史映画してもクエスチョンマーク。日本史のアナザーストーリーだとでも思えばいい。


それにしても、なぜ西洋人は、これほどまでにサムライやらニンジャやらが好きなんだろう。

これなら、ゲーム『ウィザードリィ』にああいう形で、サムライやニンジャが登場したことに納得がいく(さすがに、ニンジャが素手で首を刎ねたりはしなかったけど)。

とにかく、サムライもニンジャもそれ以外の日本文化も「なんかヘン」なのだ。殺陣も全然時代劇じゃない。真の殺し合いという感じ。個人的にはそのあたりのギャップが楽しい。

他には、サムライの子供にベースボールを教えたり、西洋人が戦国時代さながらの甲冑を着て刀を振り回すなんてのは、もう二度と見られない姿かもしれない。ちょっと誤解された日本人の慣習や文化に、西洋人が不思議な感じを受けるくだりとか、とても新鮮な感じがする。

印象的なところと言えば、死ぬ寸前に無理矢理ハラキリに持っていくところ、切腹したサムライの前でなぜか兵士全員がドゲザするところ(正式にはどうだか知らんが、あれは遠巻きに見る限りドゲザにしか見えない)、最後にサクラを出すところ、サムライと天皇を結びつけているところ、サムライがとにかく敵を殺したがっている、あるいは死にたがっているところなど、…他にもまだまだあるが……、逸話になりやすい日本人の極端な部分を、詰めに詰め込んだ構成になっているところは、なんというか、ハリウッドらしい乱暴なやり方だなぁと。

きっと制作者は、『ラストサムライ』を見れば、日本人の魂がすべて分かる、みたいな内容にしたかったんだと思う。

いろいろと無茶をしている映画ではあるんだけど、かなりよかった。

主演のトム・クルーズより、相方の渡辺謙の方に存在感を感じて、映画の最中、ずっと注視してしまっていたんだけど……、これは私が日本人だからだろうか……。