ハゲとスキンヘッド

先日、床屋へ行ったときのこと。

久しぶりに後ろ頭を刈り上げにするかーと思い、床屋のおじさんにそう伝えて刈ってもらった。

刈り上げにするのは実に久しぶりのことで、年齢不相応になりはしないかとちょっとだけ心配になった私は、指示したあとでさりげなく「おかしくないですよねー」なんてことを口走ってしまう。

するとおじさん、「サッパリしますよ。最近ではスキンヘッドにする人も多いみたいですね」との返事。スキンヘッドという、より思い切った刈り方を提示することで、安心させようとしたのだろうか。

これに対して私は、

「ハゲたらスキンヘッドにしようと思ってます。男のハゲはあきらめが肝心ですからね」

と鏡を見ながら答えて、慌てて口をつぐんだ。

というのも、鏡に映るおじさんの頭頂部が、見事に禿げているのだ。これではまるで「禿げているのにスキンヘッドにしないなんて往生際が悪い」と言っているようなものではないか。

その後、私の頭を刈っている間、おじさんが世間話をしてくれることは一度もなかった。いつもはいろいろと世間話をしてくれるのに………

そうそう、フォローになったかは分かりませんが、代金を支払うとき、レジの横に置いてあったショーケースに、たくさんのミニカーが展示してあったので、「いいコレクションですね」と褒めておきました。実はその価値が全然分からなかったんだけど。純粋にかっこいいなと思ったことも事実で。

フォローのつもりで「ハゲても素敵な髪型の人がいますよね」と言って、かえって泥沼にはまるよりは良かったなぁと、いま考えると思います。