個人制作の『TSUBASA』を聴いている

音楽・効果音素材サイト「TAM Music Factory」のオリジナルCD「TSUBASA」が届いたので聴いている。

かのサイトで公開されているMIDI素材は、一部を自作ゲーム『かわいそうな王』に借りている。もの凄い数を繰り返し聞いた曲だけど、フリー素材なのにえらく出来がいいので、オリジナル音源で聴いてみたいと思っていた。一応、手元のMIDI機器でも聴いてはいるが、さすがにオリジナルとは比較にならないだろうと。案の定。

収録曲は、「癒し(ヒーリング)」あたりに分類されそうなホンワカゆったりピュアフルな曲が中心である。きっとこの手の曲が素材として人気があるからだろう。どこかI’veっぽいというかKeyっぽい感じがする。RPGとADVの好きなユーザーの好みが集約されたCDなのかもしれない。私としては、分類とか何に似ているとかはどうでもいいが、読者の方に説明するとしたらそんな感じになる。

出来はと言うと、元はフリー素材ですと言われても信じられないほど美しい曲の目白押しである。きっと長い時間かけて溜め込んで、人気ものと自信作ばかりで固めたんだろうなあ、なんて勘ぐってしまうほどのお得感が感じられる。数は20曲だが聴いているとあっという間だ。

『TSUBASA』はただのヒーリングとして聴くには趣向が合わないかもしれない。個性のアピールがどの曲にも仕掛けられていて、やはり目的別に作られた曲が多いなという印象はある。

それでもゲーム曲という想定で聴くには勿体ない。どの目的どの場面で使われているかよりも、いかに自分に聞き心地が良いかでBGMを選んだ方が、CDのスタイルとしては合っている。普通のゲームサントラだと聴きながら頭の中でいろいろなものが駆けめぐるが、『TSUBASA』はそういうことが少ない。ピュアな旋律があたりに染みて、あとは虚無感がひたすら続くのみである。