大学の体育

体育にガッカリする人もいるんだなあと思いましたが、私も最初はそうだったかもしれない。

大学でも体育があると知り、かなりガッカリしました

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1416467869?fr=top_mantenna

私が行った大学は運動部が強いという特徴があって(頭の方はからっきしな三流私大)、学生に肉体派が多かったせいか、運動面での指導がハードなこともあった。

その際たるものが、全員義務とされていた「スキー合宿」である。こいつがそこそこ厳しかった。しかも「リアルなスポ根」の大嫌いな私だが、これだけは大学の最高の思い出として残っている。

この「スキー合宿」、朝から晩まで徹底的にスキー仕込みをして、どんなに運動オンチの未経験者でも三日間で上級者コースを滑れるようにする、という目標を掲げていた。当時の教官の合い言葉は「やればできる」。その指導はスパルタ一本である。

最初から滑れる学生にとっては天国なんだけど、私のようにほとんど経験のない学生にとってはまさに「試練」だった。

「おら集合だ早くしろ!今からここを滑り降りる!滑ってこられん奴は転がってでも落りてこい!!」

と、のっけからこんな調子である。

息つく暇もなく、凄まじい速度でリフトに乗っては滑り、すぐにリフトに乗っては滑りを繰り返す。回数は数えていられない。

最初の一〜二時間は一応、ボーゲンを許されるけど、ちょっと時間が経つとすぐに許されなくなり、「次は直滑降をおしえてやる!」とあっという間に上級者コースへ。直滑降は素人がやっても時速にして40〜60キロくらいでるそうだが、心の中で念仏を唱えつつ、風で涙を切りながら急斜面を突っ切った。

あまりの恐怖心から細かい涙の粒が風に引かれて、こめかみの横をいくつも通り過ぎていったときの感触、今でも忘れられない。でも終わると気持ちが良いんだ。

その辺を突破すると、もはや感覚が麻痺していて、どんな急斜面だろうが、でこぼこのコースだろうが、なんでもござれでひたすらばく進していった。こうなったらコース外に出て道なき道を滑ってやろうか!

一日目が終わるとぐったりして体が動かなくなり、三日目にはもう、どんなコースでも転ばず、一人で一気に滑れるようになっていた。まさに合宿の目標は達せられたわけである。

鬼の教官の顔が、最終日にはほころんで「いやあ、お前ら本当によく滑れるようになったなあ。最初はぜんっぜんダメだったのに」と褒めしきり。

滑れるようになるのは確かに嬉しいので、あれは結局、いい思い出になってしまった。悔しいけど指導方針のおかげだった。