男は女のせいにして、女は男のせいにする

何年か前から、男女それぞれの立場から語った少子化、恋愛格差、性意識等に関する記事をとても多く見るようになった。

社会的な問題を肴に、男女が互いの欠点を論いあったり、男女の違いを指摘しあったりする動きはくだらなくもあり、一般的なことでもあり、そして時に楽しくもあり。こういうのは昔も今も変わってないんだと思う。ネットではモテ論とか非モテ論とかジェンダーとか言うらしくて、真剣そうに語る記事もあれば、自虐的な記事、異性に対し攻撃的な記事などさまざま。語る場所を、学校の教室や、職場の休憩所や、飲食店なんかから、ネットに移したというだけでたぶん、大昔から庶民の間で繰り返されてきた会話のひとつなんだろうけど、とにかく話数が多い印象がある。

私のまわりで恋愛に関する話をしても、ほとんど相手にされない。いざ話をしても、それを避ける空気が生まれてしまうのは、私のオーラがそうさせるのか、一同そろって縁がないだけなのか。たぶん両方なんだろうけど、時々、ちょっと寂しくなる。

学生の頃、私がアルバイトをしていた場所では凄かった。若い男はセックスの話といい女の話と好きなアーティストの話、若い女は女のスタイルと服飾と菓子の話で毎日が占められていた。そういえば初めて女性の家に泊まらされたのも、バレンタインデーにまとまった量の義理チョコを貰ったのもあの場所だ。風土の関係からか、卒業後とはえらい違い。

人脈薄い私の人生ですらこうなんだから、場所が変われば話の内容も、異性の関係も一変してしまうのが世の中なんだろう。とすれば自分のまわりを基準にものを語っても、別の人には通じないばかりでなく、自分についてだって明日にはどう変わるかわからない。自分と他人が違う、今日と明日が違うことを前提に語るのが男女の性なんだと思う。

私の目には今のところ、男も女もどっちもどっちに見えていて、お互い必要な生物同士なのによくもまあ、これだけ価値観を対立させて愚痴をぶつけあうよなぁと苦笑しながら、さまざまな記事を読んでおります。でも、どこかで自分もバカになって、話に加わりたい欲求が生まれるのが不思議です。