暗い番組を見てもらえないなら明るくすべき

我が家は戦争関係のテレビ番組を避けて、見ないようにしている。父いわく「話が暗い」という理由で、戦争を扱った番組を前にするとチャンネルを変えてしまうのだ。

妹など、リビングでNHK総合テレビが付けっぱなしになっているのをみて「プッ、こんな暗いの誰が見てるの?」と一蹴。

戦争ドキュメンタリーを見る人は少数派ではないか

実は戦争物のテレビ番組、私については大好きで、NHKの歴史ドキュメンタリーはビデオにとって繰り返し見て、中のセリフすら憶えてしまうくらいのHENTA……いや、好き者である。

だけど、私のような人間は特殊なのかもしれない。まわりを見ても戦争ドキュメンタリーを好んで見るという人はいない。飲みの席で語ったところで楽しくないんだろう。

で、この傾向はいかがなものかなぁと。番組制作側は不本意じゃないかね。

もともと歴史を好きな人間に見せるより、関心のない人々に見てもらった方が、コンテンツ制作者の目的にもかなうんじゃないか。

ところが暗い番組は見てもらえない。この手の歴史に関心のない人ほど、“暗い”番組を嫌う傾向があるとしたら、今のままでは悪循環を呼ぶ。過去の戦争ドキュメンタリーはマニア向け番組だ。

体裁重視でなく、中身を思い切る

「戦争の悲惨さを後世に伝える」という制作側の目的を果たせないのなら、中身を工夫することも考えるべきではないか。

ここは思い切って、不謹慎になりかねないギリギリの逆アピールに切り替えてみてはいかがだろう。風刺をうまく使って、ギャグマンガ風に仕上げるんだ。

  • 日本軍の士官はイケメン中心。末端の下士官と兵士はお笑い芸人の、自虐的なギャグパフォーマンスで笑いを誘う
  • ルーズベルト大統領もお笑い芸人が担当して、片足でケンケンしながら「イエス ウィ キャン!」
  • ガダルカナル島玉砕やサイパン島玉砕などは、裸踊りで楽しそうにバンザイしながら機関砲で全滅
  • ビルマ戦線「日本人はもともと草食動物であった」 → 鹿の格好で戦争
  • 特攻隊は、いつも航空機ばかりで面白くない。実験でやった海中を歩いて敵を探す兵や、木製飛行機(特攻専用機「剣」)を、お笑い芸人がコント混じりでやってみせたらどうか
  • 帽振って見送るシーンに、フラフープをやる奴が混じる
  • 原爆が炸裂すると、宇宙戦艦ヤマトばりの「ちゅどーん」っていう効果音が鳴って、空一杯にドクロマークが広がる
  • 五木ひろし「ああ堪えがたき忍びがたき、菊よ散る」熱唱。団塊世代が大喜び!

これでは悲惨さが伝わらないかもしれないが、まずは関心を誘うことが目的である。

私の考えでは、興味を持った歴史の流れは、あとで自分の趣向に影響を与える。きっかけは何だっていいじゃないか。お堅い体裁一辺倒では、限られた層しか掴めないんだよきっと。

現実を見る

できるわけがない。不敬や遺族の絡みで一騒動起きそうな内容です。ただ、その現実を見せたい側が何億回「現代人が戦争に関心を向けなくて困ったものだ」と唱えたところで、願望実現にならないばかりか、愚痴にしかなりません故。

本当にいい案は私にも浮かびませんが、少なくとも今の伝達スタイルでは、関心のある層しか関心を向けないという空虚な状態が続きそうです。

広島出身の若い世代なんか、原爆話ばかり聞かされてきてウンザリしているとも聞く。学ばされる側も人間だ。原爆の死者に黙祷を捧げるより、いま飲むビールが旨いことの方が重要なんだから。

それより、ビールが美味しくなる原爆の学び方ってないですかね。そこは伝える側が工夫しないと、永遠に相互理解はできないものと思います。だってつまんないチャンネルは変えちゃうのが大衆だもの。勉強しようと思ってテレビを見ている人なんてほとんどいない。

「親しい人が殺されるまで分からないんですか?」「ええ、分かりません」。タテマエはともかく、それが大衆の事実だろう。その事実と向き合うべく、伝える側の発想転換が必要かもしれません。

あと、漫画・ゲームは関心を誘うためのいいきっかけになると思います。そんな中で、架空の表現をバッシングするなど努力の後退だ。ゲーム「提督の決断」のグラフィックが従軍慰安婦を連想させて不適切だ、などと指摘をするくらいなら、むしろプッシュして、注目を集める道具にするくらいの狡猾さを見せてみてはいかがだろう。

この表現やるなぁ、と興味のある層もない層も、ため息をついてしまうくらいの平和アピールに期待したいです。