見せムチ効果

競馬には「見せムチ」という言葉があるそうです。見せムチというのは、競争中の馬に、騎手がムチを「見せる」ことで反射的に気合いを入れさせる乗馬技術のことです。実際に鞭で馬を叩かなくても、鞭に対する怖さを教え込んでおくと、チラリと見せるだけで効果を出すことができるようです。

思ったのですが、この見せムチ効果、意図して仕込まれているかはさておき、人間のゲームプレイヤーもゲームの中でやられちゃうことがしばしばあるなあと。

例えば「世界樹の迷宮」のFOEシンボルなんかはその典型ですよね。FOEは、時間の経過と共に主人公に近づいてくる強力なモンスターでした。プレイヤーは地図上にFOEマークの点灯を認めただけで戦慄します。

ウィザードリィやDesigeonのようなコンピュータRPGだと、固有イベントの表現や敵の風貌によって恐怖を煽ることはできると思うのですが、ここでは、画像やイベント以外にもムチっぽいことを考えてみました。

  • 毎フロア、到達するたびに敵の攻撃力やヒットポイントの平均をメッセージで表示しておく
    • 数値によってプレイヤーが直感的に性能の大小関係を把握できるゲーム向け
  • 難易度の異なるエリアごとにプレイヤーパーティの強さを判定して、能力値の表示箇所で「危険」とか「警告」とかを表示する
    • 「このフロアはやばい」みたいなメッセージです
    • 相対的に優秀な能力値には「充分」とか「優秀」とか
  • 強敵と出会うポイントにマークを置く

あとは、迷路構造や記号的メッセージでおっかない場所の存在を臭わせておくとか、方法としてはいくつか考えたのですが、界隈の作家が共有できて実用になりそうなものは意外に思いつかないなあと。表現の仕方は舞台設定やシナリオ次第だろうというのもありまして。

でも、プレイヤーに事前通達して「怖いぞ。怖いんだぞ〜」と教えておくことと、何も伝えず先に探索させるのとでは、覚悟や緊張の面で違ってくるような気がいたしました。