RPGでのアイテム探しについて、個々の要素の応用

続き。前回の記事の、一部の要素に着目してみる。

アイテムの交換システムは応用のしがいがある

しかし、唯一例外的にアイテム探しに奔走したくなるアイテムがある。それは「ちいさなメダル」だ。これは、「ブルーチップ」(株じゃなくてクーポン券の方ね)と同じような収集の喜びを感じる。

これはとても有用な機能だ。

原材料と完成アイテムの交換機能を実装すれば、ウルティマオンラインの生産システムも、ドラゴンクエストの「ちいさなメダル」も、ファイナルファンタジーのところで述べた「アイテムの交換機能」も、すべて実現できる。

メニュー作りが面倒くさいから、かなり先になるだろうなぁ。でもいずれやりたい(気持ちだけ)。

安物だが滅多に落とさないアイテムに対する工夫

ゴミ同然のアイテムであっても、たまにしか入手できないアイテムは、ちょっとしたゲーム中のスパイスになるかもしれない。

ドラクエ2や3などで、たまにモンスターが落とす薬草などは、地味に嬉しかった記憶がある。ウィザードリィポーションが出ても嬉しくないが、ドラクエの場合はそのアイテムの効果以上に「とっておきたくなるおトク感」がある。

たかが薬草でも、たまにしか落とさないからありがたみがある。となれば、もっとありがたみを増すような方向に持っていけば、アイテム探しに繋がるかな……。

たとえば、薬草は薬草でも、複数のバージョンを用意するとか。スライムが落とす薬草は「ねばねばな薬草」、ドラキーが落とす薬草は「羽根のついた薬草」、ガイコツが落とす薬草は「乾いた薬草」みたいな。一つずつ集めてどこかに持っていくと、何かと交換してもらえるとか。

この工夫のポイントは、収集アイテムに対して、以下の特徴を持たせること。

  • 収集もしくは交換以外の用途がない、あるいはゴミ同然の性能しか持たせない(ドラクエの薬草のような)
  • 出現率を低くする

強力なアイテムなら交換を渋るだろうし、通常のレアアイテム探しとなんら変わらなくなってしまう。

出現率が高いと、ありがたみが薄れるばかりか、アイテム欄を浪費して邪魔になる。攻略には必須でないアイテムを出すわけだから、オマケという認識は忘れないようにする。

セミレアは悪評の元?

消耗アイテムは、一括補充ができることをプレイヤーに示し、ダラダラ集めさせない。優秀なレアアイテムは最後までレアであり続ける。そうした方が、プレイヤーが安心できるという話。

使いどころの難しい、セミレアな消耗アイテム

数が少なく、補充の利きづらい消耗アイテムは、使いどころが難しくセミレア化して、結局使われずにゲームを終えてしまうことがある。たとえば、ドラゴンクエストにおける「祈りの指輪」や、ファイナルファンタジーの、「エリクサー」や「ラストエリクサー」のようなアイテムだ。ゲームの難易度にもよる。

これと関連して、「ゲーム序盤に、ついレアっぽいアイテムを探してしまう」問題も発生することがある。これはどういうものかというと、たとえば序盤の間は店では買えない「特殊な武器」が、後半に入るといくらでも手に入るケースだ。

序盤は「特殊な武器」がとても魅力的に見えて、ついそちらに気をとられてしまいアイテム探しに熱中するが、実はさっさとゲームを先に進めた方が、はやく攻略できて大量に「特殊な武器」を入手できることが分かってくる。するとプレイヤーは、「あの努力は一体何だったんだ!」ということになり脱力する。

これを意図して起こす場合は別だが、大抵はプレイヤーに時間を浪費させるだけの結果に終わる。じんわりと徒労感を植え付ける、よくない原因の一つになっている気がするのだ。

ゲームにもよるが、長編RPGのアイテムは以下の設定を徹底しないと、「セミレア」なる曖昧なカテゴリを生む原因になる。コレクターズアイテムとしては中途半端で、しかも使いどころが分からないため、もっとももてあますアイテムになるんじゃなかろうか。

  • 消耗アイテムは補充ペースを明確にしておき、だらだらと垂れ流さないこと
    • 一括補充できるようにしておくなど
    • 一定時間おきに一回分ずつ回復させて、それ以外の回復手段を与えないなど
  • レアアイテムは、最後までレアであること
  • セミレアアイテムを設けるなら、入手可能数をきっちり示すこと

ただし、以下のゲームは除く。

  • アイテムを補充できないことが前提となっているゲーム
  • 時間制限のある(手早く攻略することで利益を得る)ゲーム

これらは、たとえばメタルギアソリッドのような、敵地でアイテムを現地調達して、限られた弾数で攻略することが前提となっているケースだ。こうしたゲームでは、回復アイテムの出現個数が限られていたり、アイテムに耐久度を設けることに意味が出てくるかもしれない。

戦闘以外でアイテムを出す方法

アイテム入手を戦闘に依存しない方法も考えてみたい。

以前の記事に、lovepotionさんより、以下のコメントをいただいた。

やっぱ敵が落とすアイテムのほうが集めがいがあるんでしょうか

おそらく、おっしゃる通りの傾向があると思う。

敵が落とすアイテムに価値がある理由は、モンスター狩りが作業化するほど大量に発生するゲームが多いからだと思う。

我々が大部分のRPGと向き合うとき、プレイ中の意識の矛先は、多くの時間帯において戦闘に向けられている。著名RPGでは、ときには戦闘をウンザリするほど繰り返さなければならない。

意識を集中させた後で、違和感なく受け取ることのできる見返りが、RPGでは戦闘後の経験値であり、ゴールドであり、宝箱になっている。同じことを大量に繰り返す中で、ポツリとモンスターがアイテムを落としていくと、救われたような気持ちになるのかも。

逆に言えば、たとえRPGでも、戦闘を繰り返すことに重点を置かない作品であれば、戦闘時の報酬にこだわる必要はなくなる。たとえば、シナリオを通じて発生する戦闘の数が固定されているゲームでは、モンスターがアイテムを落としても、あまり嬉しくないかもしれない。

戦闘以外にも戦略性を持たせたRPGを作ることができたら、戦闘以外の場所にアイテム探索の喜びを見いだせると思う。

たとえば……

  1. 地図や宝物を自動生成する。あるいは膨大なマップを用意する
  2. 戦闘に注力させないエリアを作る
  3. たくさんの地図を歩き回ることに何らかの価値を持たせる
  4. 歩いている最中に、アイテムを拾うことがある

もし、そういうゲームを作ることができれば、道ばたでアイテムを拾ったときに、喜びが大きいかもしれない。

この手の宝探しゲームでは、シナリオの都合によってすべての地図を踏破させるのではなく、好きなように動き回ってもらうための、見せ方や、移動のさせ方の工夫が必要になってくる。

アイテム探しを利用すること

まぁ、アイテムという要素にのみ着目してもRPGは完成させられないわけなんだけど、本道としてもオマケとしても、利用しがいのある要素だと思う。

昔からゲームプレイヤーが血眼になって探す共通のものといえば、パワーアップを与えてくれる宝石であったり、ハイスコアを与えてくれる隠しキャラであったりと、おおおよの相場が決まっている。アイテム探しという行為は、人間の本能に植え込まれた探求心の現れなのかもしれない。