ソフト開発中の情動

皆さんは仕事以外の(場合によっては仕事によって)ソフト開発をする間、心情的にどういう変化があるだろうか。

私は興味の向くソフトを作る間に限定されるが、興奮の連続であることがある。おっしゃできた!とか、滅茶苦茶だこの処理!とか、これは感動だ!とか、これだこのアイデアしかないぜ!とか。怒ったり喜んだり感動したり。ゲームをやるよりゲームを作っている間の方がよっぽど激しい情動に苛まれている気がする。

いつもそうとも限らないけれど、Desigeonは強烈にこれが来る。動悸が煽られる。外観に疎くなるので髪は荒れ放題。昔のマンガに出てきそうなマッドサイエンティストに近いものがあり、ときおり奇声に似た独り言が出ることも。だから開発中の姿は誰にも見られたくない。見られてたまるか。

けれど大抵こういう状態になるのは、その仕事をする際、いろいろと楽な状況が生まれているときである。本当にキリキリ追いつめられているときは、喉が渇き息が詰まり、イライラして気が遠くなる。

嫌なことからは離れたがり、忘れたがるものだ。そしていかなるソフト開発にも(それが趣味であっても)、完成の過程で「嫌なこと」がいくつか壁となって現れるものである。大抵はこれを、地道に時間を掛けて取り組み、解決に持っていくことになるが、そうするには根性が必要である。

この雑記で私が「壁を乗り越えた」という表現をするとき、目を逸らしたい「嫌なこと」がひとつ解決されたことを意味する。別に作品が完成したわけじゃなくても、よっこらせと本当に壁を乗り越えた感触があるのだ。そして大抵、そのことはあまり記事にしないので、その壮絶な戦いぶりが伝わることはない。ひっそりと作者の記憶で止まることが多い。

たとえ私が努力でもって開発の壁を乗り越えたところで、物理的に切り立った崖を乗り越えたわけではないので、その鬼気迫る根性を語ってもかっこよく見えるわけじゃない。だからあまり語らずにいるのだ。他のプログラマ諸兄の中には同じような方がおられるだろうか。それとも私だけだろうか……。