コーエーの三國志シリーズでいい音楽

私のマシンには、長らく「三國志5」の音楽が入れっぱなしである。ゲームは遊ばなくなって久しいが、音楽は聴き続けている。広大な中国をよく表現した、壮大で臨場感溢れるBGMが多い。NHKの大河ドラマOPもびっくりの出来映えである。

田舎がいい

5の前まではずっと「三國志2」が最高だった。かの初代「提督の決断」(音楽は宮川泰さん!)と並んで三國志2が好きだった。

三國志2の中では、特に極地(交州と涼州)の寂しいテーマが好きだった。人口が少ない上に統治しづらい貧しい地域、大陸の端っこで細々と内政に励みながら、今に見ていろと時を伺うプレイが想像力をかき立てられ、モチベーションを高めた。あの音楽の現代版が作られたら、現在の三國志の音楽を差し替えたい。

私が三國志を遊ぶとき、大抵はじっこを選ぶ。だから国としては蜀(劉備)や空白地を選ぶことが多い。昔から、ジャイアンに対するのび太の反撃が好きなのだ。

斜陽差し込む寂しいテーマで

三國志の蜀(蜀漢)の土地というと四川省雲南省である。雲南省については詳しくは語らないが、現代ではあまりいいニュースを聞かない。どうにも文明未開すぎる話ばかり聞くので、ネガティブなイメージがつきまとう。

四川省成都は、蜀漢の皇帝・劉備が首都とした拠点である。第二次世界大戦では旧日本軍の空爆対象になり、大戦後半には対日のB29が配備された要衝だ。しかし蜀漢全体で見ると、当時は中国の中央部(いわゆる中原)との人口差がとてつもなく大きく、いかに肥沃な土地と山岳地に恵まれた要害といえど、他国に比べて戦略上の不利は免れなかったようである。大国の魏に敗れた原因は色々言われているようだが、結果として滅びたことは仕方がない。

四百年の歴史を持つ漢の国は、蜀を本拠地として攻め上げて興した国である。そして滅びた場所も蜀の地と言うことができる(厳密には、漢室が廃されたのは魏王の手によるもので、劉備蜀漢はあとから作った国家であるが)。中央からはあんなに離れているのに、なんとも興亡のロマンがかき立てられる話ではないか。

というわけで三國志の田舎の音楽には、斜陽が差し込み徐々に何かが失われていく寂しさを表した雰囲気が相応しい。そういうテーマでお願いします。「項羽と劉邦」では逆がいいですけどね。