更新がないと分かっているのに見にいく故人のブログ
故・浅羽莢子さんのブログが残っている。
浅羽さんは英文和訳の文芸翻訳者で、その存在感は、DSゲーム『世界樹の迷宮』の文体への影響を見ても感じ取れる*1。ゲームブックの二人称「君〜」は浅羽さんの訳がはじまりだった。
君はそれが彼女の訳だと信じてもいいし、信じなくてもいい。本を開いて確認せよ。あとは天に向けて祈るだけだ!
浅羽さんは、2006年8月までは仕事の話をブログに書いていて、それが最後の更新になって、ひと月ちょっと後に亡くなっている。ブログを見ているとまだ生きているかのような錯覚を得るのはネットならではだろうか。
私としては少年期に遭遇したファイティング・ファンタジーシリーズの記憶にはじまり、現代に至ってもソーサリーシリーズの復刊をやり遂げられたことが記憶に新しく*2、ときおり気になって見にいってしまうのだ。更新があるわけもないのだが。
ブログのコメント欄には今も、ぽつりぽつりと足跡を付けていく人がいる。
できれば今後もブログを残して欲しいが、永遠にというわけにはいかないだろう。つい見にいってしまうのは、生きていた頃の跡がそのまま残り続けて欲しいという願望の表れかもしれない。
閲覧の需要があれば、残し続ける理由にもなろう。