落ちぶれていく主人公のRPG

RPGの主人公って、はじめは弱くて貧乏で、知名度がない場合が多いですよね。で、ゲームを進めていくうちに、金を稼いで、強くなって、有名になって、より強い敵と戦って、最後には「最強の敵」に勝ってエンディングを迎える。そういうものが多いです。

でも私は、その逆のゲームがあっても良いと思うのです。

つまり最初の時点で、主人公は金持ちで強くて知名度があるという。そんな恵まれすぎた主人公が、ゴールを目指して進んでいくにつれ、徐々に落ちぶれていき、「最後の敵」を倒すところで完全に地に落ちて、質素な幸せを見つけて終わる。そんな感じで。


最初の所持金は1億ゴールド。ゲーム途中に収入はなく、金はどんどん減っていく。

主人公の初期レベルは99。だけどそれ以上は強くなれなくて、事故やイベントを通じてどんどんレベルが下がっていく。

持ち物も、はじめは先祖より伝わる最強の剣と鎧と盾を持っているけど、途中で剣を質に入れ、盾は山賊に奪われ、鎧は川を泳ぐときに捨てざるをえなくて、最後には錆びたナイフ一本だけが残る。

借金にまみれ、人々の憎悪を浴びて、ボロをまといレベル1にまで落ちた主人公が、とうとう錆びたナイフを手に、最後の敵である「鹿」を相手に奮戦するのです。こいつを倒せば今日は食いつなげる!と必死になって闘うわけです。

そして、ついに手にした鹿の肉。栄光の主人公はとうとう、自然と共に生きていく力を身につけ、野生に還ったのでありました。おしまい。