エネミーの複数回行動
今日は、昔いただいたご意見と、最近の自動起動コマンドに対する反応の二つについて、共通項があったのでお話させていただきます。一ターンに、エネミーが複数回行動することについてです。エネミーが、一ターン中に二つ以上のコマンドを選ぶ機能を作ることはやぶさかでないのですが、クリティカルな問題を含んでいることと、擬似的な対案があること、今日はその二点を。
掲示板の元記事は見つけられませんでした。
論理的に二回行動はあり得ない問題
まずはこの案が、現在の戦闘ルールと矛盾する問題についてです。
現在の戦闘ルールでは、モンスターが一ターン中複数の連続行動を計画することができません。難しいか易しいか、ではなく、速度のルールがそれを不可能にしています。コマンドごとに速度が違うので、行動スロット1と行動スロット2を連続で発動することはできません。
(コマンドの発動順がバラバラでも良いならできますが、おそらく発案者の意図は、他のコンピュータRPGに見られるような連続行動にあるのだと思われますので、以下は連続行動を前提にしてお話します。発動順がバラバラでもいい案については後述します)
もし一体のエネミーが連続行動するなら、現在の「速度ルール」が使えません。以下のように、エネミーが思考するタイミングが変わるところもポイントです*1。
コマンドの選択と行動順序の決定手順
現在の手順 | 思考とコマンドの決定 → 速度を計算 → 行動順序を決定 |
---|---|
複数回行動の手順 | 速度を計算 → 行動順序を決定 → 思考とコマンドの決定×2回 |
複数回行動する場合、コマンドを選ぶ前に速度を計算することになります。だからコマンドの速度設定をなくせば(無視すれば)、複数回行動できます。この場合、攻撃か呪文かによって速度を分けることはできなくなります。
新しい速度ルールの第一案としては、「統一速度能力値」を定めることになると思います。
上記のように、コマンドの実行手順が根本的に変わることを考えると、連続行動を許容するルールは、現在とは別の戦闘ルールになります。行動順序について、コマンド速度制を用いるか、統一速度制を用いるか、きっちりルール分けして考えたいです。
それと現在の自動起動コマンドについてですが、これを使えば実質、連続二回行動できるという主旨のご意見を後日いただきました。確かに自動起動コマンドによって連続行動できますが、あくまで固定のコマンドを自動起動できるというだけで、エネミーの思考によって制御することはできず柔軟性を欠くので、説明の上では、自動起動コマンドによる複数回行動の概念を外させていただいています。
順不同で複数回行動する案
これは副次的に思いついた案ですが、実装が難しくないので軽くコメントします。
コマンドの発動順がバラバラで良い場合、現在の戦闘ルールでも同じターン内に、一体のエネミーに複数回行動させることはできます。
実現の第一案としては、「行動回数能力値」を一つ設ける形になります。「行動回数能力値」を採用しなければ、現在と同じ動作をします。採用した場合は「行動回数能力値」が示す回数分、エネミーはコマンドを選ぶ、という機能になります。
PCの複数コマンド入力もその気になればできますが、こちらは画面表示の問題が出てきます。画面デザインが苦しくなることが懸念されるため心情としては避けたいです。
ただ、PC側の複数コマンド入力を採用できれば、少人数パーティで多彩な戦術を盛り込んだゲームを作りやすくなりますね。例えばウィザードリィは六人パーティで白兵戦と補強と砲撃戦を実行しますが、一人あたり複数のコマンド入力ができるなら、一〜二人でもこれができることになります。
*1:思考するタイミングが変わる副作用として、“賢い”エネミーを作りやすくなるというのがあります