レンタルアイテム。戦略コストの掛けどころ
昔からの慣例で、アイテムは探したり買ったりして自分のものにしておしまい、と考えがちですが。RPGの中で「炎の杖」をリースするような仕組みがあってもいいんじゃないかと。どうせ後半には陳腐化する剣やメイスなんざ、借り物で済ませてしまおう、なんて。
RPGの中で戦略的なものというとアイテム収集とキャラクタ育成が定番ですが、それ以外にもいろいろ考えてみました。
RPGって、ほとんどがコマンドの実行に対するその場のリスクとリターンでゲームを解決していきますよね。
たとえば、戦闘で攻撃をするときに使うものは、一枚の行動回数券と消費MPです。このとき、ついでに金を消費したり、アイテムを消費したりしても、考え方は大差ありません。入力に対し、定量の消費について効果が生まれるわけです。
そこで、シミュレーションゲームから輸入してみたい考え方を、大きく分けて二つばかり。
- 全体戦略に対する事前投資
- スイッチによる維持の切り替え
全体戦略に対する事前投資
何かに投資をしたら、その効果が味方全員に、あるいは敵全員に、ずっと出続けるというルールは、RPGではあまり使われていません。
投資の効果が全員に永続して出る
鍛冶の研究によって、店で買える刀剣類の強さが変わる。魔法の研究改良によって、下位呪文がいきなり強力に。チームプレイを練習して、全員の防御力がアップ、不意打ち防止。などなど。
この件については以前、「RTSに学ぶテクノロジーの研究」(http://d.hatena.ne.jp/kumashige/20081008/1223399952)でコメントしたので、他の例はそちらの方で。
国家による戦略
国王や大臣や王女が、主人公に仕事を要求するなら、主人公も雇い主に口出ししましょう。彼らにも仕事をしてもらうべきじゃないですか。
- 「街道の整備をお願いします」
- 街の発展・治安の向上・情報流通の活性化
- 「市場を作りましょう」
- 商業区画の発展・税収向上
- 「橋を架けて下さい」
- 特定河川を渡れるようになるショートカット
- 「隣国と交易をすべきでは」
- 渡船場・交易品・造船・荷馬
- 「作物や農薬を研究して、田畑を増やしましょう」
- 食料供給量の向上・新薬の発明
ゲームによっては、これらがストーリーに組み込まれていることもありますが、もし実行の順序を選べるなら、先に選ぶものを考えることで、中間の攻略性が変わってくるかもしれません。
中にはクエストを採用しているゲームがありますが、そういうものの増加トリガにも使えそうですね。
スイッチによる維持の切り替え
スイッチをオンにしておくと、継続して効果を発揮する機能ですが、そのかわり維持にコストがかかります。
この概念のポイントは、「使うほどおトク」「放っておいても機能する」というところにあります。
機能・効果の維持
すべてスイッチオンの間(契約期間中)だけ効果があります。維持コストについては後述します。
- レンタルアイテム
- なくしたらアカンよ
- カントの死亡保険
- 死んだら蘇生代を肩代わりしてくれます。ロスト時には莫大な保険金が!
- カントの終身医療保険
- 麻痺と石化には治療費がかかりません
- 口パク呪文
- 未熟でも上級魔法を使えます。安心のベテランサポート!
- 明るいダンジョン
- ランタン要らず。契約相手は迷宮の主でしょうか
- トラップ緩和
- 契約相手は迷宮の主としか思えない
- 宝物増加
- どう見ても迷宮の主……
- 遭遇率ダウン
- そのエリアのボスに賄賂でも渡してるんでしょう
- 常備薬
- 薬草が10個未満になったら10個に戻ります
- クレジットカード
- 現金がなくても買えます。返済には要注意
- 救急タクシー
- 危なくなったら街に運んでくれます。料金は距離に比例します。
通常契約だとオヤジのカローラが迎えに来て、ゴールド契約だと美人のBMWが迎えに来ます - 全滅タクシー
- 全滅したら死体を回収して、街に運んでくれます。
通常契約だとヤクザの葬儀屋がお迎えに来て、ゴールド契約だと美人のシスターがお迎えに来ます - アイテム保険
- 壊れたら相応の額を貰えます。もしくは補充してくれます。
ウルティマオンラインだと、死んでもアイテムを失わないという保険で、一個700gpでした - 定期回復
- HPやMPが常時送り込まれてくるよ
- 老人医療保険
- 65歳以上のキャラクタのみ、治療費が安くなります。あと薬代も安いです
- 給与が振り込まれる
- 雇用主に貰います。昇給あり、降給あり、有給休暇なし。
持ち帰ったアイテム量、倒したモンスター量により昇格・降格するとか。ファイナルファンタジー8より - ビキニ流行
- なぜか敵が、鎧と盾を捨てて露出狂に
- 敵が失語症
- なぜか敵が、魔法の一部を使いません
- ニンジャは友達
- なぜか敵の忍者が、首切りをしません
- バンシーは俺の嫁
- なぜか敵が、エナジードレインをしません
- エレベータ
- 契約期間中だけ使えるエレベータ。
プラチナ契約をするとエレベーターガールの案内つき - 死体買い取ります
- モンスターの死体にも値がつく。意外なレア死体も
- 抜け荷の品売買
- ご禁制のアイテムをこっそり買い取りますぜ……ククク
- メールマガジン
- メルマガ小僧がときどき、ダンジョンの情報をお届けにあがります!
前述の維持コスト
維持コストは、金やアイテムを定期消費するという形でもいいですが、労働力を奪われるという形も考えました。あるいは「アイテムを貸し出し続ける」みたいなのも、定期コストの一つですね。
- 金が自動引き落としされる
- 仲間を手伝いに出す。人質に取られる
- アイテムを貸し出して、しばらく帰ってこない
- 特定のコマンドを封じられる
- 買い物ができない
- 城の出入り禁止
- 戦闘では必ず不意を打たれる
- 閉所恐怖症
スイッチはいつでもオンオフできてもいいのですが、定期更新という形でもいいですね。一度契約したら、次の契約更改の半年後までは契約し続けなければいけない、みたいな。
担当者の割り当て
こちらは期間限定の「人材投入」です。さしずめプレイヤー社長の派遣会社ですな。
魔法研究所に手持ちの魔法使いを割り当てたり、寺院に僧侶を割り当てたりするのは理にかなっていると思います。市場や繁華街には商人や盗賊を割り当てる。遊び人なんか大道芸でも舞台でも、どこででもやっていけそうです。国が戦争をやっているなら、たまに戦士を貸してあげましょう。戦争がないなら用心棒か、畑にでも行って貰いましょう。
勇者だけは役に立ちません。資格をとるために勉強でもしてなさい。
投じたキャラクタは、時間経過と共に、それぞれの分野で活躍します。研究が進めば新しい魔法やアイテムを発明することがあるかもしれない。収入を見込んでもいいと思います。パーティの知名度が上がっても、成長してもいいです。
これはウィザードリィみたいな没個性キャラクタのRPGに向いていると思います。なぜなら、不特定多数のキャラクタを自由に育てるルールと気風がすでにあるからです。だいたい、育てたキャラクタの一部を酒場に預けっぱなしで遊ばせておくなんて勿体ないじゃないか。
ドラゴンクエスト3には、「商人の街」を作るために商人キャラクタを一人、人身御供に捧げるイベントがありました。あのイベントでは、投じる商人が回収不能になるので、レベル1の商人を投じることが常套手段になっていましたが、割り当てキャラをあとから回収できるルールがあってもいいわけで、きちんとルール作りをしてやれば機能すると思います。
こうなってくると「休養」の概念も出てきそうですね。バカンスにでも行かせて、本当に遊ばせておくの。HP回復が早まるよーみたいな。冒険者は大変なんです。
まぁ、あんまりやるといよいよSLG化してくるので(わざわざジャンルに区別を付ける必要はないと思いますが)、今日のところはこの辺で。