セーブ領域をたくさん設ける目的

「セーブできる数」について気になることがある。長編ゲームでは必ずセーブロードの機能を設けなければならないが、とくにRPGやADVなどでは、セーブ数をいくつ提供するかがしばし焦点になる。たとえば長編ノベル物では、五十とか百といった数の領域を確保しておかないとプレイヤーが不満を漏らすことが多い印象だ。

実際に様々なゲームを見てみると、ゲームごとにセーブ可能数には大きな差異がある。セーブ箇所が実質的に無限のものもあれば、一箇所しか保存できないものもある。

私なんかは、はっきり言ってノベルで五十や百のセーブ領域を与えられても使い切った試しがないのだが、それでも五十とか百の領域が欲しい。御神楽少女探偵団を遊びながら、三十箇所しか保存できないからゲームが進めばいずれ古いものを上書きしないとセーブ領域が不足するなぁ、なんて思いつつ、実はそんな古いデータをロードすることなどまずないわけで、実際に上書きセーブしても困ることはなかったりする。三十箇所は少ないなぁと思いつつ、三十が五十に増えたところで利便性がそれほど向上するわけではないのだ。

実際に三十箇所を使い尽くしたところで感じたのだが、セーブ機能は安心のための機能なのだろう。古いデータを上書きしようとすると、若干の不安のようなものが発生する。「このデータは本当に消してしまっても大丈夫なのか」というささやかな抵抗が生まれるのだ。

実際のところは、ゲームを開始して数分のところでセーブしたデータなんぞ消えても問題は起きない。ロードの代わりに頭からちょっと再プレイすれば済む話だ。理屈では分かっているのに、データを消すとなるとやっぱり若干の抵抗があるようなのだ。

セーブ領域をたくさん用意する目的は、一番は不安感の解消のためなのだろう。いや、何となく分かっちゃいたけど、実際にゲームを制作してみると、セーブ領域をいくつ設けるべきか、なんてことは、利便性や全体のプレイ時間などを考慮して真剣に検討しているもので。“無駄に思えてもいいから安心を与えろ”なんて意識は忘れている。

作り手として一番簡単なのは、セーブ箇所をひとつしか用意しないことだ。むしろそういう潔いゲームは、セーブロードのシステムを利用して、ゲームルールに関する新たな工夫が盛り込めそうだ。


ジャンル別に見ると、まずSLGではいくつセーブ個数があっても足りない。

意外に数が要求されないのがRPGだと思う。戦略的なやり直しを要求することのあるSLGや、分岐のたびにセーブしたくなるADVと異なり、RPGは一直線のシナリオに沿ってゲームを進めることが多い。

RPGでは「もっともいい状態」だけを保存しておきたくなるので、最新の一個以外はそのままゴミになりやすそう。