ウィザードリィ風ゲームの玄室の使い道

玄室の使い方について考えている。

玄室の本来の考え方

もともとウィザードリィの玄室というのは、「宝の部屋」であって、乗り越えるべき「障害」ではないようだ。

つまり玄室は、来訪者に対する(それなりに大きな)報酬を配置しておく場所であると考える。ゲーム側から与えられるメッセージとしては、迷路探索お疲れさま、頑張っている報酬ですよ、という意味が込められている。玄室は目的地(探すべき拠点)なのだ。

だから、ウィザードリィの一見“何もないフロア”である5〜8階については、本当に何もないのではなく、玄室を求めて旅をする場所、ということになる(これらの情報がプレイヤーに伝わりづらいことや、9階と10階に比べて歩く価値が低いことについては、また別の問題として)。

拠点の使い方

玄室を「障害」とみなさず、「探すべき拠点」という扱いをする場合は、希少性とヒントがある程度必要になると思う。

  • 玄室だらけになると、玄室ひとつあたりの価値が下がる
  • 玄室だらけになると、迷路探索のテンポが悪くなる
  • 玄室の所在に関するヒントがないと、プレイヤーの捜索方針は、何も考えず歩くだけになってしまう

意図的に玄室だらけ、ノーヒントにする場合は別にして、もともとの玄室の目的を考える場合、

  • 玄室を必要最小限に留めて、要所に配置する(“要所”の定義は、ゲームに依存する)
  • モンスターとの遭遇数は、エンカウント率によって調整する。もしくは他の方法を考える
  • 玄室を再配置するまでの間隔時間を設ける

…といった方針(これは例だが)で迷路を作らないと、玄室の目的を果たせなくなる。玄室はあくまで、ここぞという場所に配置すべき制作上の武器なので、乱発を避けるのだ。

迷路探索のテンポを落とすことが目的であれば、玄室をたくさん配置するよりも、通常の遭遇モンスターを増やすことを視野に入れた方がいいかもしれない。

ウィザードリィの玄室は多くはない印象

ウィザードリィの地図には、玄室ではない部屋(何もない部屋)がたくさんある。1フロアあたり400ブロックという世界の中、玄室の数は12〜16程度で、意外に少ない印象がある。

ウィザードリィの玄室がときどき邪魔に思えるのは、同じ場所に何度も来訪しているためで、実は最初の一回目の来訪においては、緊張感を維持するのに役立っていると私は感じている。

玄室の数が多すぎると疲れるのだが、ウィザードリィの玄室はそれほど多くないため、テンポよく歩いてしまうと、拍子抜けするほど広いエリアを踏破できてしまい、すぐに見知らぬ土地に迷い込む。

ウィザードリィの玄室は、「障害」でもなく、「戦闘の報酬」でもない。危険を冒して迷路探索を行うことに対する、総合的なボーナスである。

迷路探索を楽しいものにするために

ウィザードリィ風のゲームから玄室の密度を減らしてしまうと、迷路探索が味気ないものになってしまうかもしれない。何もない場所が増えてしまうから。

となれば、あとはモンスターとの遭遇率を上げたりして緊張感を維持することになるだろうか。

戦闘を繰り返し行うことや、何もない場所を開拓しマップを完成させることについて、退屈であると感じる人は多いと思う。

しかし、これは玄室の配置量だけで解決すべき問題ではないと私は考えている。玄室はあくまで「探すべき拠点」という制作上の道具であり、プレイヤーにやる気を植え込む要素でなければならない。ゲームを楽しくするためには、玄室の配置操作だけでは、現代のプレイヤー向けゲームとしては不足している。

そもそも、玄室だらけのゲームを遊んでも、あとになるほど疲れるだけで、ちっとも自分に見返りを感じない。もちろん、ただ歩き回るしか選択肢がないウィザードリィだと、今度は退屈してしまう。これを解決するには、玄室の量とか遭遇率とか、そうした要素だけではどうにもならないと思う。広い迷路を持つゲームなればこそ。しかし現実的な問題として、ウィザードリィの汎用イベントには、玄室と遭遇戦と罠(ピット、ダークゾーン、ターンテーブル)しか存在しないのだ。

もちろん、個別イベントの設置という決定的な方法もあるのだが……、3Dダンジョンゲームに定番となりうる汎用機能が、もっと増えてもいい気がするのだ。

もうちょっと考えてみよう。