祖父は肺結核で亡くなったが、発症率は低い経験

五十年以上も昔のこと、私の祖父は肺結核で亡くなった。戦後、貧しい時代であったため薬にも入院にも金が回らず、仕事を休んで長期療養を図ったが、結局亡くなった。遺言は「病に罹ったときのために金を貯めておけ」だった。

しかしポイントはここからだ。結核は意外に発症率が低いらしい。祖父の存命時、自宅療養でしかも家族が面倒を見ていたから、とうぜん菌が家族にうつる。家族のレントゲン写真には結核の影がくっきりうつっていた。それを聞いたときはびっくりだった。しかし、それ以外の症状を発症した者は誰もおらず、半世紀以上経った今でも全員がぴんぴんしている。

当時、小学生だった祖父の子供たちは皆、予防接種前の検査で激しい免疫反応を示し、腕が真っ赤に膨れあがったという。だからBCGはいらないと言われ、誰も予防接種していない。

菌をもらっても困る人は思ったより少ないようだ。

さて半世紀が経ったが、昔の記憶が残っているのか、私は祖母の勧めで肺結核の検査に行った。つい三年前のことだ。検査費用は八千円、結果はともかく、あとから祖母が負担すると言い出した。よほど気になっているのだろう。

検査結果は問題なく。結核罹患者との接点がないはずの私としては唐突すぎ、話を聞かされ不安を煽られたが、人を安心させるためだからと自分に言い聞かせつつ、医師に相談したのだった。

あらためて、お笑い芸人の結核のニュース。たとえ接触があった人でも、不安に思いすぎると別の問題を招くかもしれない。私からは大丈夫とは断定しかねるが、あまり気に病まない方がよろしいかと思う。不安なら、不安を解消するという目的で医師に相談するとよい。今回の件では、都が相談窓口を設置しているそうだ。