身代金三億円要求誘拐事件の報道タイミング

サッカー番組(TBS)や『着信アリ2』(日テレ)を見ていて、終わったら寝ようと思っていた矢先。

午前二時過ぎにもかかわらず、NHKと日テレとTBSで誘拐事件の報道番組が割り込んだ。犯人は逮捕され被害者は無事保護された、という。

TBSは被害者と被害者の母親の顔と名前を出して、被害者側の情報を中心に据えた番組編成にしており、まるでワイドショー状態。

だが、この時間に割り込ませる必要のあるニュースだろうか、と疑問を感じる。災害が起きたり、テロの危険を訴える番組であるならまだしも。

これは、被害者がいかに大変な思いをしたかという話とはまったく別の問題で、事件を知るべき適正な時間帯が果たして報道可能となった夜中で、かつ他の番組よりも優先すべき情報であるのか、という点である。フジ・テレ朝・テレ東では番組変更を確認していない。

真夜中に素早い報道を行うことで視聴者の誰かが得をするかというと、そうでもないだろう。今回の誘拐事件に関しては、臨時の詳報を流すことは無意味であるばかりでなく、視聴者に不快感を呼びはしないか。少なくとも、私はTBSが被害者家族が“いかに金持ちであるか”という点に重点を置いて被害者の映像を報じはじめた段階でチャンネルを変えた。

もし被害者が金持ちであるという情報がそれほど重大な情報であるならば、通常のニュース番組のときに(たとえば『ニュース23』で)このような事件が起きるたびに被害者側の情報を淡々と流すべきではあるまいか。(金持ちとか、有名であるとかがそれほど重要な情報だろうか?それならば対照的に貧乏であったり無名である場合も次から報道すべきであろう。家が借家であるとか、車は中古のセダンであるとか)

今回はNHKの対応もいまいち。もともとニュースが割り込む予定の録画テニス番組をやっていたので便乗したのかもしれないが、事件の解説者まで呼んで特別な番組編成に変更しそれを長々と報道する意味があるとは思えない(NHKの報道がもっとも長い。夜中に目をこすりながら見ていたテニスファンにとっては迷惑だっただろう)。

この事件の報道は明日の朝で十分だと思う。テロップを流す程度はやむを得ないと思うが、まもなく寝ようとしている視聴者が多そうな時間帯である以上は、本来のコンテンツを優先すべきではなかろうか。