「サクラ大戦」の歌謡ショウはお祭りだ
さる筋より「サクラ大戦」の歌謡ショウDVDをいくつか入手したので、少しずつ見ている。
内容はミュージカルが中心で、ゲーム出身のキャラクタ役者が芝居をやるのだからさぞゲーマー向けの内容で攻めてくるんだろうと思いきや、きちんとしたストーリーと演出に挑戦していて驚いた。
帝国歌劇団というのは大正時代にあるとされる架空の歌劇団である。歌謡ショウでは、帝国歌劇団のメンバーが前半において仕事(芝居)に至るまでの芝居をして、後半において本物の芝居をする、という流れを作る。
後半は架空のキャラクタたちが本物の劇を見せることになり、これを「劇中劇」と呼ぶのだそうだ。そのタイトルには「青い鳥」「海神別荘」など、普通に芝居として用いられることの多い戯曲素材が用いられ、帝国歌劇団のキャラクタ陣に合わせた配役によってミュージカルが展開される。
私は原作のゲームについては詳しくないし、ミュージカルはNHKで見るもの以外は初めてで、芝居についても無知に等しいけど、劇場全体で盛り上がっていく雰囲気は素敵だった。
だいたいこんな印象。
- おばさんのコスチュームに驚いて、すぐに慣れる
- 楽しい
- 優しい
- 手作り感がある
- 関係者の懸命さが心地いい
- そんなに上手くないが親しみが沸く
- 一緒に歌い、踊り出したい
- ストーリーの印象が薄く、雰囲気で楽しみたい
私にミュージカルが向いていないだけなのかもしれないが、しばらくこの世界を眺めているとストーリーや芸などどうでも良くなってくる。劇場は役者含めたスタッフと、音楽と、観客によって作られていくので、展開される物語も歌や踊りのスキルも重要じゃないことがだんだん見えてきた。
3時間以上もの公演を終え、幕が下りたあとの「また来年お会いしましょう」のところで一斉に拍手と歓声が沸くところなんかは、コミケなどの即売会イベントを思い出す。
おそらくお茶の間の視聴者と、劇場の観客とでは時間の経ち方がまるで違う。テレビのこちら側から神の目線で見下ろしても意味がない。自分が参加するかしないかの選択しかないのだ。
これはお祭りだ。
ディズニーランドには行くか行かないかしか選択肢がない。遠くから評価するものじゃない。それと同じだ。
映像で見る場合は、自分を劇場に送り込まないと楽しめないかもしれない。その意味で私は楽しみ方を会得しつつあります。(が、肝心の視聴時間の調整が辛い)
まだ全部は見終わりませんが、終わったら別のDVDを探しそうです。
一連の歌謡ショウは2006年夏を最後に終了し、関連イベントもしばらく行われていないようだ。
どうやら関連ゲーム事業が縮小されてしまうと、ショウも行われなくなってしまうらしい。サクラ大戦は昨年だかにDSでゲームが出たものの目立った動きはないし、このあたりはいわゆる“メディアミックス”の難しい一面が出てるんだろうか。
11月には横山智佐さんの「ちさりさいたる」がやるんだそうで。しばらくぶりにさくら役が一時復活するようです。これを書いている現在、まだ予約チケットに空きがあるようです。