Wizの情報集め・その2

いろいろと書きたいことはあれど時間的余裕がなく、書きためておいたものを放出。以前載せたWizネタの続きです。

ひとたび書いた記事が長すぎるからと分割して、その前半部を「その1」として載せておきながら、早くも二ヶ月が経過してしまいました。あまり時期が離れすぎると逆に載せづらくなるので、このあたりで終わらせます。

ちなみに「Wizの情報集め」シリーズは今回の「その2」までしか用意していません。で、今回はどうでもいいネタが中心です。

今回もリンク先の情報源がかなりの手助けになっていますが、それにしても、古いゲームながらWizってゲームは、骨までしゃぶり尽くすと出てきますねぇいろいろと。隠し要素を見つけ出す人って凄い。

地下四階や地下九階などに隠しエリアがある

Wizには徒歩では辿り着けないエリアがある。つまりテレポーターの罠かマロールの呪文で飛ぶことでしか入れない場所。

歩いては行くことはできないが、ただの「すき間」ではなく、きちんとデザインされた小部屋・大部屋・通路の組み合わせで人為的に造られたと思われる密閉構造(隠し空間)が、地下四階と九階には存在するらしいのだ。もちろん玄室も存在する。

そして地下九階では、隠しエリアまで含めてマップを完成させると、マップから「ACG」の三文字が浮かび上がるらしい。これはFC版でも確認できるとのこと。

九階に通ることのできない一方通行ドアがある

通ることのできない一方通行ドアがある。九階の西南の付近に存在する。西から東への一方通行。

ドアの前がワープポイントとなっていて、ドアの前にマロール等でジャンプしても強制的に別の場所に飛ばされてしまうため、決してくぐることができないらしい。

しかも歩いて行くことのできる場所(一方通行の反対側、普通の通路)からはただの壁に見えるため、普通は存在すら気づかず手書きのマップには書き記しようがない。

FC版では東を向いてドアの西側にマロールすると、一瞬だけドアが表示されて、直後に地下一階に飛ばされるらしい。その一瞬のドア表示を見逃さなければ、一方通行扉の存在に気づくことができる。気づいたところでなんのメリットもないけど。

FC版六〜八階の構造はPC版と異なる

FC版とPC版では、六〜八階の構造がFC版オリジナルに差し替えられている。これはまったく知らなかった。何しろ六〜八階など行くことがないし構造を調べたこともない。興味もなかったけど。

構造を見るとPC版の方が遊び心があってはるかに楽しそう。

PC版で六階のマップを完成させると、九階と同様に開発者のイニシャルが浮かび上がってくるらしい。

「いっかい」「2かい」

攻撃したときに表示される攻撃回数のメッセージ。日本語表示では「いっかい」「2かい」と言葉を使い分ける。現代なら「Nかい」というように回数が1であろうと10であろうと、Nの部分に数値を割り当てて文字列を作成するプログラムの方が簡単にできそうだが、当時のプログラマはやりにくかったのか意図的なものなのかこれをやらなかった。

まぁC言語の文字列ライブラリなどない時代でしょうからなぁ。アセンブラで書くとなればどちらであっても似たような労力であったろうか。

Desigeonは「N回」で十分でしょう……。

VAMPIRE/VAMPIRES

Wizのモンスター名を英語表記で表示させると、名詞を単数形と複数形で使い分ける。モンスターの数が一体であればVAMPIRE、二体以上いればVAMPIRESという表示になる。

名詞によっては複数形でも単数形と同じ単語が割り当てられていることがあり、処理的には単にSをつけただけではないことが分かる。不確定名にもGIANTがGIANTSに変わるといったような変形がある。すべて複数形用の名詞データを用意してあるようだ。

日本語で複数形を表現するとすれば「吸血鬼たち」「吸血鬼ども」「吸血鬼集団」「吸血鬼群」といったところか。語呂が悪い印象があるがこれはこれで悪くないかも。Desigeonでも検討してみようか。

カシナートの剣

ブレードカシナートの名前の由来。名匠カシナートさんが鍛えた剣である、という話は、実は後付で攻略記事の作者が作ったこじつけであったと。

本当はクイジナート社製のフードプロセッサからとった名前らしい(Wikipediaより)。Wizの作者が愛用していたのか、よほど切れ味がいいと評判なのか、フードプロセッサそのものが当時としては画期的な商品だったのか理由は不明だが。

このこと、真偽の程はともかく、ネタとして面白かったので記憶にとどめてしまった。

本来、bladeとは剣そのものを指す単語ではなく刃の部分を指す単語のようだから、きっと機械の中に搭載されている刃の部品こそがカシナートの正体なのだろう。そう考えればブレードカシナートという名称からは、敵をズタズタに切り刻む性能があることが想像できる。ただ、素手で掴んだら血だらけになりそうだが。

いやま、どうでもいい話。

ミフネ

Wiz#2と#3に登場する侍モンスターの最上級ミフネ。元ネタは俳優の三船敏郎さんということで攻略本などにも紹介されており有名。

しかしなぜ三船敏郎さんなのだ。と思い、母に「三船敏郎って時代劇で有名なの?」とさりげなく聞いてみたところ肯定された。どうやらかつて時代劇の中心的存在だったらしい。なるほど、少しWebで調べただけでいろいろ出てくるようだ。

だけどWizをファミコンで遊んだ当時は、すでに日本の茶の間には別の役者が名を馳せていた気がする…のは私が中途半端な年齢のWizプレイヤーだからだろうか。松平健高橋英樹里見浩太郎あおい輝彦北大路欣也。少なくとも私にはミフネという名になじみが薄い。作者が黒澤ファンなのか三船ファンなのかは知らないが、むしろ役者名よりも、どうせ日本の固有名詞を用いるなら、歴史的に有名な名を用いた方がウケが良かったのではなかろうか。ムサシとかトクガワとか。

攻略本の紹介文からは「ミフネ」とは本人を指す名詞ではなく、一族に与えられる称号であるとか、サムライの最高位であるとかいろいろな解釈がなされているが、こじつけに感じられる。存命中の人名を使われてしまうと実感が沸かない。ミフネさんはミフネさんで特定の日本人名としか捉えようがないと思う。

当時、大半の小中学生は最高級アイテムを高確率で落とすモンスターであるこの「ミフネ」を求めて最下層をひた歩き、出会えば嬉々として殴り殺したはずである。ああ、ミフネ君ってたくさんいるんだなぁと思いつつ。考えてみればヒドい話ですな。

いやま、これもどうでもいい話。

レイバーロードは動物系、AC10

B10に登場するレイバーロード。神聖なるLordのはずが「きちがいとなりモンスターに堕ちた存在」という設定らしいが、分類はなぜか動物系。きちがいの君主は動物扱いとなる? 意味深だ、と捉えてしまうのは考え過ぎか。

しかもACが10。B10でこれほど回避力がないモンスターはこやつのみ。そして入手できるアイテムは最高級。おかげでプレイ当時はウハウハでありがたいイメージを持つモンスターだったが、ACの数値はまさにそれを現しているといえる。

うーむ、これもどうでもいい話ですな。

ところで、マイルフィックって不死系だったんですね。知りませんでした。ディスペル成功率はかなり低いようで。レベル35のビショップが三人がかりで呪いを解こうとしたものの、十五回ほど連続で失敗。十六回目でようやく成功。レベルが低すぎるのかね。

キャラメイク時のボーナスポイント

時間をかけるか否かで悩ましいWizのキャラメイク。あの運命のボーナス値発生のアルゴリズム、長らく不明であり知りたいと思っていた情報の一つだった。普通に一発乱数を発生させるだけのプログラムではあのような意外性のある値の生成源にはならない。

We Love WIZARDRY for WonderSwan」さんのサイトで知ったのだが、かなり興味深い情報だった。キャラメイク時のボーナスは5〜62の間で変化するが、その決定の仕方はかなり奥深いというか……月並みな言葉だが珍しい仕様になっている。以下の通り。

  • D20を使用して、連続で何回20が出現したかでボーナスの基準値が決まる。そこに1d5を加算する仕様になっている。
  • 最初のD20で20以外が出た場合は基準値は4であるため「1d5+4」となる。つまり95%の確率で5〜9のボーナスが出現するわけだ。
  • 最初のD20で20が出たらもう一度D20を振り、そこで20以外が出たら基準値は14となる(1d5+14)。ボーナスは15〜19となる。しかし20が出たら基準値に+10するというグレードアップを果たして次の判定に進む。D20の出目が連続で20であり続ける限り基準値が+10されていく。
  • 14の次のD20では24、さらに次のD20では34となり、44、54と基準値が増加していき最後は59となる。59の基準値には1d3がプラスされる。つまり最高ボーナスは62となる。59よりも前で基準値が止まった場合は、先に述べた通り1d5がプラスされる。
  • 基準値をプラスさせ続けるためには、D20を振って20を連続で出し続けなければならないため、基準値59に達する確率は20の6乗分の1(6400万分の1)となる。最高値の62が出る確率はその三分の一だから、1億9200万分の1ということになる
    • この確率は宝くじで一等を当てるよりも低い(今日のジャンボ宝くじは、一枚あたり一千万分の一の確率で一等)

現実的なところで、エルフで侍を作るだけならだいたい50分の1くらいの確率でできる。常人であればこの辺でへこたれるだろう。どんなに頑張っても、いや偶然目にする夢があったとしても400分の1の奇跡(25〜29のボーナス)を現出できれば十分だろう。しかし8000分の1以降の仕様まで作った設計者ははっきり言って………。いや、まぁ……、いいか。とりあえずよくわからないけど乾杯。

まぁそれはともかく。それ以外のこと。

  • FC版で人間に62のボーナスを与えるとぴったりオール18に到達する。忍者も選択できる。62のボーナスが発生するところまでは確認できないが、メモリ中のボーナス値(1byte)を62に書き換えて、あとは通常の操作でボーナスを割り振り確認
  • しかし人間以外でこれをやるとボーナスが余ってしまい、キャラメイク画面から抜け出られずにハマるはず。ボーナスを算出するときに制限がかかっているのかもしれないが……
  • 噂ではFC版のボーナスは25〜29で打ち止め(400分の1の発生率)ということを聞いた。一方では40以上のボーナスを見たとの証言もあった

で、結局のところDesigeonではこのようなボーナスルールを導入する予定はない。

ただ、ここにヒントを得て、段階的に能力値が変化する仕組みはすでに実装できるし、やってみたい気はする。普段はゼロで、20分の1の確率で1以上の値に変化する能力値を6個用意すれば、たまーに超新星爆発級のダメージを生み出すような戦闘の設計も可能である(もちろんv1.13以前のDesigeonで可能なはず)。

そのときは何時間かに一回、画面が「コボルドに 2985634985736 のダメージ!」という感じでインフレしてくれることだろう(倍精度実数の精度は15桁程度なので注意)。まるでバグのようだが、実際にWizのメイキングボーナスで巨大な値が出ると、まるでバグったかのような錯覚に陥るのだからむしろ適当であると思う。

もちろん、発生率が6400万分の1なんていう確率では寂しいから、もう少し現実的な確率設計でこれをやってみたい。ドラクエには「会心の一撃」があるがWizにはその手のダメージ増大がなく値関係での爽快感が乏しいし。まぁサンプルではやらないけどそのうちに。

(具体的にDesigeonでこれをやるためには、乗算用に0と1の間で変化する能力値を用意する。「最小」を0、「最大」を1にして、「加算値(r)」に「d20-19」を設定すれば、20分の1の確率で1、それ以外の確率でゼロになる能力値ができあがるはず。あとは他の能力値から「乗算能力」や「加算能力」で参照すれば、参照した能力値は20分の1の確率で突発的に値が発生したり、もしくは同確率で1が加算される能力値となる)

v1.14では金や経験値などが能力値化されるので、このあたりの「突発的に沢山貰えるボーナス」があっても面白いかも。1万分の1の確率で100倍の経験値をくれるコボルドとか。偶然にも巨大な経験値に遭遇して、味を知ったプレイヤーが突然コボルド狩りを始めたりして。