Wizの情報集め・その1
次のサンプルゲームにはWizのルールをより分かりやすい形で導入する方向で検討しています。
これは私が考えるルールとしての良し悪しは別であります。データを弄りやすい方がユーザーが吸収しやすいと考えるとWiz本家に多少なりとも近づけることが重要かなと。近づけるだけではなくてシンプルさも要求されるので必ずしもWizのルールを選択するわけではないのですが、本家を知っておくことは必要だろうと思い少し前に調査しました。FC版。
で、ここに書かれたものはあまり正確性を検証していません。一つ一つから確実に裏を取ることは作業的に大変であまり前向きな開発方法とは思えませんので(いつまで経っても終わらないので)Desigeonのサンプルに反映できるようにルールを解釈し、決めています。それとだいぶ前に書いたものなので現在では方針を変えているものも……まぁあまり厳密な文章として解釈しないでください。私としては備忘録として、雑記的にはネタの扱いです。
調べながらいろいろ細かい仕様が出てきて面白いと感じた反面、これはとても調べきれないなぁという手応えがありました。Wizは市販ソフトであるしあまりにも仕様が不明で作者に聞くわけにも行かず。隅々まで調べきれないのと、実のところあまり熱意を持って調べていないのと……。項目数にするとかなり多いです。情報があればお寄せいただければ幸いです。
今回の調査にあたっては昔調査したときの記憶、そして以下のサイトを主に情報源とさせて頂きました。
得物屋24時間 BOLTAC'S TRADING POST http://www.pekori.jp/~emonoya/ We Love WIZARDRY for WonderSwan http://multix.jp/wizardry/ 魂の色 http://www.ksky.ne.jp/~s1437/frame_set.html
昔調査したときのサイトが見つかりません………。なくなってしまったか移転したか正確にキーワードを覚えていないため検索に引っかからないか…いずれにせよ、上記だけでなくいろいろなサイトから情報を得ています。とても助かっています。
分量が多いので何回かに分けて。サンプルゲーム作成にあたりまだまだ課題は出てくると思いますがそれは随時。
忍者のA.C.初期値と降下ペース
レベル1のNinjaの裸ACは8。実はずっと9だとばかり思っていた………。
それとWiz#1,2,3は3レベルおきに1ずつACが下がっていく。#5は2レベルおき。
サンプルゲームは8で始めて3レベルおきに下がる仕様に決定。
呪文耐性と炎/氷耐性
レジストの扱いがよく分からない。分類して考えてみたい。
◆ 必ず効果のある呪文
相手のACを悪化させる呪文は、呪文が封じられてさえいなければ確実に効果を発揮する。
この意図は分かりやすい。武器で倒すべき相手へのMageの支援手段を残したのだ。武器で倒すべき相手は高レジストだが、AC悪化の呪文さえ効かないとなればMageはFighterへの支援がまったくできない存在になってしまう。逆に、呪文が効くなら別の攻撃呪文を使うべきだろう。これはそのまま採用する。
マカニトなどは別の解釈がある。呪文の効く効かないが100%決まっている呪文だ。
概念から考えるなら、レベル値によって効く効かないを制御するのではなく、「マカニトが効く効かないフラグ」がモンスター側にあればいい。その方が分かりやすいと思う。
いずれにせよ、サンプルではそのまま受け入れて、効くべき相手に対しては成功率を100%とする。
マカニトには二つの目的があるものと思う。
- 水準が低くわずらわしいザコ戦を時間を掛けずに終わらせる
- 経験値ボーナスを与える
B10ではフロストジャイアントとポイゾンジャイアントの二種がマカニトを受け入れる。この二体はモンスターレベルが1に設定されており意図的に効くようにしてあるようだ。そして経験値が高い。B10に出現する他のモンスターでこれほどレベルの低いモンスターはいない。
他にもB8のアースジャイアントに効いたり、「レベル8プリースト」のレベルが7に設定されていたりと、マカニトを効くよう配慮したと思われる設定が散見できる(いや偶然かもしれないけど)。
不死系に効かないようにしてあるのは、…まぁ窒息死させる呪文である以上、呼吸をしないアンデッドに効かないという設定上の理由もあったろうが…、アンデッドへの即死攻撃にはPriestのディスペルとMageのジルワンを用意してあったので、その価値を下げたくなかったのだと思う。
◆ 無効にしてしまう呪文
カティノなどの成功不成功をはっきりさせる呪文にはレジスト処理が入る。最大成功率を95%として相手の呪文レジスト値を減算する。だから95以上のレジスト値を持つモンスターには100%効かない。
これは比較的分かりやすい。サンプルゲームへの実装も容易。
◆ ダメージ呪文
やや面倒なのはダメージ呪文だ。
- 呪文レジスト処理が入る。レジストされた場合はダメージが発生しない
- 効いた場合、炎もしくは氷のレジスト値を持つモンスターの場合、該当の種類についてダメージ値を減算する
おそらくこのような流れでダメージが決まっていることと思うが…そうなると以下の点をはっきりさせねば。
- 最大成功率は95%でいいのか?(つまりレジスト値を持たない相手にマハリトやティルトウェイトが効かないことがあるか)
- 耐性は半分か、レジスト%が設定されているのか
データを見る限りレジスト値は存在しないように見える。
アンデッドはクリティカル耐性100%だがクリティカル可能
クリティカルヒットの成功判定はどのように処理しているのか不明。Ninjaのレベルが上昇すると発生率が高まるようだが。
- Wizのデータを見る限り、クリティカルに耐性を持たないモンスターは存在しない
- 不死系モンスターのクリティカル耐性はすべて100%であるが、クリティカルが成功する
- レベル30、持ち物なしのNinjaが、オーク(耐性6%)を攻撃したときと、レベル8ファイター(耐性48%)を攻撃したときのクリティカル率は体感でそれほど変わらない。3〜4回に一度程度のペースで発生する
- レベル1のNinjaではほとんどクリティカルが発生しない(私は見たことがない)
それと十五年ほど昔に聞いた噂では、サムライ系のモンスターにはクリティカルが成功しやすいということだった。あれはデマであったか。
クリティカルしてほしくないモンスターを作りたいという要望は必ず出てくる。そうなれば上記の体験は無視せざるを得ない。クリティカル成功率については本家Wizを無視して、以下の式を割り当てようと思う。
- Ninjaクリティカル率は、初期値20で始まり奇数レベルで+1されていく。最大95とする
- Ninjaクリティカル成功率(%)=(Ninjaクリティカル率−モンスター抵抗値)%
- 最小成功率は0%、最大成功率は95%
Strength
◆ 16以上の場合はダメージに(ST-15)を加算
これは手元の攻略本に書かれていたがDesigeonの旧サンプルには盛り込み損ねた。
Desigeon的にはこれを計算するための能力値を一つ用意しなければ実装できない。もちろんこういう細かい計算を成り立たせるために沢山の能力値スロットを用意してあるわけなのだが、はたしてサンプルで対応すべきか悩む………。
珍しくはっきりしているルールの一つだから、次のサンプルではやってみようと何となく決意。
◆ 命中率に影響
攻撃については、どのようなロジックで命中判定を行っているのかよく分かっていない。
うろ覚えだが、D20が(ST+相手AC)以下のときに命中とする、という話をどこかで聞いたようなないような。レベルってまったく無関係だったのかと。
5%を最低命中率、95%を最高命中率としてこのルールを採用しようと思う。
I.Q.とPiety
◆ 呪文の成功率
レジストされる可能性のある呪文の成功率に影響する。
仕様がよく分からない。ということで攻撃の命中率と同じにしてみる。
◆ 六で割った数を初期の呪文個数とする
六で割って余りを切り捨てた値を最初に覚えている呪文個数とする。
この仕様はあくまでMageとPriest専用。Bishopではまた別の計算となるらしい。
仕様がはっきりしているがDesigeonでは実装が大変。作りたてのキャラクタにのみ適用されるルールなのに設定は複雑になりがち。無理に導入してもメリットは薄いように思う。
そして1レベルの残りの呪文と、2レベル以降の呪文の習得条件には確率が影響してくる。が、そちらの仕様ははっきりしていない。サイコロの出目が悪ければいくらレベルが上がっても憶えないことがある。しかし9回まで使えるようになったレベルの呪文は強制的にすべて習得させられる仕組みになっているらしい。
このあたりの仕様に追従させようとすると大変である上にメリットが薄いように思う。呪文(というかアクション)の習得ペースについては能力値によって何らかの差異を出したいと考えてはいるが、Wizの仕様を取り込む予定はない。
サンプルでは該当のレベルに達したら100%一斉に憶える仕組み。
呪文の習得ペースに差異を出す方法については、サンプル以外の作品を設計するときに盛り込んでいきたい。
◆ 鑑定成功率(I.Q.専用)
これも仕様がよく分からない。攻撃の命中判定と同じにしようかと。
Desigeonの場合はアイテムごとに鑑定の難易度を設けることになる。ACと同じ感覚であれば難易度を設定しやすいかも。たとえばB1で出現するモンスターのACが12〜7程度なら、そこから出るアイテムの鑑定難易度を同程度にすればいいのだ。StrengthをIQに、ACを難易度に置き換えればそのまま理解できる。
Bishopのアイテム鑑定は一度失敗したらそれ以降はそのアイテムの鑑定に成功しない設定を行っておく。Desigeonにはこの設定があるため、確率論を比較的厳密に裁ける。Bishopが一度鑑定に失敗したアイテムは商店に持っていくしかないので、たとえば60%の成功率であれば3個に1個は鑑定料が必要という計算が成り立つわけだ(もちろん他にもBishopがいた場合は別の結果が待っていることがある)。この結果は能力値の変化によってクリアされるため、未鑑定のアイテムを保管する場所があればレベルアップまで待って再鑑定されてしまう恐れはある。
◆ ディスペル成功率(Piety専用)
これも仕様がよく分からない。攻撃の命中判定と同じにしようかと。
モンスター側にはディスペル用のレジスト値を用意する。これはACを回避率に変換した値と同じ値の価値を持つ。
Vitality
◆ レベルアップ時のH.P.の決定
H.P.の決定方法については後述。VTが関係する。
◆ 蘇生の成功率
仕様不明。蘇生される側のVTが高いほどディやカドルトの成功率が増す。
サンプルでは攻撃の命中判定参考に決めようかと。VT:0はAC:-10に相当。VT:20がAC:10に相当。
で、命中率としてはPietyをStrengthとして扱う。式を簡単にすると(詠唱者PI×5+相手VT×5−50)%が成功率となる。最低5%、最高95%とする。そんな感じで。
しかしディとカドルトの違いはどうしよう。灰化とロストがないので差別化は成功率および蘇生後の回復H.P.に求めるしかない。
◆ 3未満に落ちると死ぬ
VTだけ値が下がりすぎるとPCが死ぬ。これは実際にWizで経験済み。たとえ十六歳であっても「老衰」で死んでしまうのだ。他の能力値はゼロに落ちても死なないようだ。
これは導入しない予定。VTが下がると別の問題が発生するので下がる仕組みそのものがマズかったり。
Agility
◆ 戦闘時行動順序
AGが18のキャラと11のキャラの間でも行動順序がそこそこ入れ替わる。どのようなロジックで順序を決定しているのか詳しいところは分からない。
サンプルでは±20%の乱数(小数あり)を課して値の大きい順に並べ替えることにした。
◆ 不意打ち発生率/不意打ちされる確率
これも詳細不明。AGの値によって±5%程度で確率が変動するらしい。
そして不意打ち判定対象のキャラはパーティの最後尾らしい。ナゼ最後尾?大抵はそこにMageがいるのでAGに気を遣っているキャラといえばそれまでだが。設計的には無難といえば無難なセンか。しかし最後尾のボーナスをBishopのIQとPIに振り込んでしまったプレイヤーにとっては災難である。思い切ってThiefを最後尾に据えるのも手か。
Desigeonにも不意打ち機能を設置する予定だが、本家Wizの詳細が不明のため独自の計算式で行く。
◆ 宝箱の罠の解除成功率
Wizの罠解除はAGで成功率で決まるらしく、これ以外の要素はおそらくないらしい。つまり戦士だろうと魔法使いだろうとAGが高ければ罠解除は成功する。
……ということらしいのだが、テストしてみたところB10の罠をAG:18のBishopが50回ほど試してまったく外すことができなかった。外せないものは結局Ninjaに解いてもらったのだが……。大半は試している間に誤作動させることになった。
結局、確証がとれず詳しいことは不明。しがたってサンプルは独自路線で行く。
サンプルでは通常の攻撃判定を真似ようかと。アイテムの識別と同じく、AGをSTとみなし、解除難易度をACとみなす。
Luck
毒・麻痺・石化・ドレイン・クリティカル・罠回避率に影響。
いずれも攻撃と同じ方法で決着をつける。毒・麻痺・石化・クリティカルはモンスターに成功率を割り当て(LK×5)%を引いて成功率を算出。
罠回避の考え方も同様で、(LK×5−回避難易度)%を回避成功率とする。
ブレスダメージには影響しない…らしい。けれどブレスダメージはたまに裸であっても半減してくれることがある。あれはなんだろう。固定確率ということか。
武具のレジスト率
武具には特定のブレス攻撃に対するレジスト機能がある。能力値に炎レジストを用意して武具によりこの値を加算させるようにする。炎レジストはPCとモンスター共通になる。モンスターもマハリトなどの呪文を低減する必要があるからだ。
これは単純にパーセントを設定することになる。
H.P.の決定
キャラメイク時のHP算出式はクラスごとに決まっていて、VTの値は影響しないらしい。前述の朝日薫さんの「We Love WIZARDRY for WonderSwan」サイトによると、1LVキャラのHPは以下の設定とのこと。
Fighter | Thief | Priest | Mage | Samurai | Bishop |
---|---|---|---|---|---|
1d6+7 | 1d3+4 | 1d6+5 | 1d4+1 | 1d4+12 | 1d4+3 |
- レベルアップ後のHP=(VT×LV)÷10+[LV]D[Bonus]
現在値との差を出して上昇値を決める。もし現在値の方が大きければHPの上昇値は1となる。
初期のHPはSamuraiがトップだが、レベル上昇時のボーナスはSamuraiのD6に対しFighterがD8であるため、いずれFighterが追い抜くはず。
この仕様はサンプルでは踏襲しない。中途半端にしか追従できないためだ。
サンプルではキャラメイク直後も含めて以下のように決める。
- HP=(VT×LV+VT)×0.5×[クラス固有倍率]
- クラス固有倍率は、Fighter:1、Mage:0.5という感じで決める
このようにする理由はいくつかあるのだが詳細は割愛。
攻撃回数
戦士系は5レベルおき、Thiefは8レベルおきに攻撃回数が上昇。最高10回まで。そしてNinjaはレベル1の時点で2回攻撃できる。これは諸々を調べる直前にテストプレイしていて偶然知った。このあたりの仕様はそのままサンプルでいただくことにする。
Priestはレベル12で急に3回に増える。しかしそれ以降は増えないらしい。
MageとBishopはレベル12で2回攻撃になり、それ以降は増えないらしい。
ということで、扱いが難しいのは攻撃回数の上昇が打ち止めになる三職業。サンプルでは設定が大変になるため、打ち止めにはしないことにする。おそらく制限をかけなくてもゲームバランスに影響を与えるケースは少ないだろうとの判断。Wizでは武器の攻撃力で差別化を計ることが主体となっているわけで、Staffの攻撃性能が低ければ10回攻撃できたところで戦士にはとてもかなわない。そういう設定を行うことを前提にサンプルを構築する。
ということで、Priestは10レベルごとに+1、MageとBishopは12レベルごとに+1することに。
素手の攻撃力とダメージボーナス
これはレベル1のキャラを使って実際に試した。テストしたあと、調べてからテストすればよかったと後悔した……。
- 忍者 … (1d8+1) + STボーナス
- 忍者以外 … (1d3+1) + STボーナス
カッコ内は武器を身に着けたときには加算されず武器ダメージに置換される。したがってNinjaの場合、LONG SWORD(1d8)を身に着けるよりも素手の方がダメージが大きいはず。
Strengthの項目で説明した加算STボーナスは素手であろうと武器装備中であろうと無関係で加算される。
それとレベル上昇に伴う加算ボーナスもあるとの話を聞いたが……これは本当なのか?
結局のところ厳密には不明。レベル1の段階では上記の式そのままのテスト結果が出ており他の要素は入り込んでいない模様。
サンプルでは、上記の設定に加えてわずかだがレベルボーナスを加算する。その値は全員が初期値ゼロで、攻撃回数に準じたペースで成長させる。上限は事実上無制限。
「友好的なモンスター」への対処
B10には友好的なモンスターが出現しない。
友好的なモンスターへの対処を決めると、5%の確率でG/Eが入れ替わるらしい。おそらくD20を転がして20が出たら変化するとかそういう仕組みなのだろう。
これ、そのまま貰うべきか否か。Desigeonは固定値の設定を嫌うシステムなので、5%の部分は設定できるようにしなければならない。
罠識別率
詳細不明。Thiefは95%まで、Ninjaは90%まで成功率が上昇するらしい。
レベルが成功率に影響すると聞いたことがある。そして罠解除と異なりThiefとNinja以外のクラスではほとんど成功しない。そしてNinjaよりThiefの方が成功率が若干高い。
詳細が分からないので、サンプルはレベルで決めることにする。
- 成功率(%)=(95+Level×5−難易度)%
- 難易度は罠ごとに0, 15, 30, 45, 60, 75, 90, 105, 120, 135のいずれかを与える
- Ninjaの難易度はThiefより5ポイント高くする
- 最低成功率は5%、最高成功率はThiefが95%、Ninjaが90%
カルフォは95%の成功率らしいがWizで失敗した経験はないような…?仕様ははっきりしている方だと思う。カルフォについては95%固定に決める。