迷路の広さについて(余談)

迷路の広さについては、ながらく考えていたテーマでした。

3m?5m? - nnnさんブログ『無限』より
http://mugendun.blog.shinobi.jp/Entry/128/

私もずっと、以下のように考えていました。

  • 全体を広く見せかけるにはどうしたらいいか
    • 巨大な構造物の中を探検している感覚を、もっと表現してみたい
    • 巨大なマップを与えたときに、世界が広いという感覚と、探索を簡便にする操作性、同時に満たすことのできるインターフェースは考えられないか

Wizardryのマップは、解像度的には他のRPGドラクエやらFFやら)に比べると極めて小さいです。この狭いデータを元に、構造やイベントに妙を凝らしてプレイヤーに探検の手間を取らせることが、3Dワイヤーフレーム迷路ゲームの特徴になっています。

ですが、今後作るゲームを考えていくときに、一フロアが20×20である必要もなければ、壁が正方形である必要も、視界が3歩までである必要もないわけで。


様々な状況をテストしたかったこともあって、私の迷路ゲームは、パラメータによって描画する天井の高さ・一歩の奥行き・左右の幅などを変えられるよう、準備だけはしてあります。

そして、いろいろテストを重ねた結果、感覚的にもっとも安定し、違和感を感じづらい設定は、現在の形、すなわちWizardry型であると結論づけました。それは、画面の中央を垂直線・水平線の交差点とし、一歩先の壁サイズが手前の壁に対して50%の比率で小さくなっていく、というものでした。

ただ、個人的にはもう少し広い視点から、構造まで含めて「迷路の広さ」を調整する機能を付けていきたいと思っています。

視界という一点に絞らず、迷路構造(世界構造)について考えるところがポイントですね。

  • 初めから迷路と視界を広げておく
  • 天井を高くして、奥行きを広める

初めから迷路と視界を広げておく

迷路を広く見せる方法のひとつとして、初めから迷路を広く作っておき、視界も広くしてしまう方法が考えられます。以下のような感じです。

ワイドになると、相対的に迷路が広く感じられるため、パーティの「現在位置」がわかりにくくなります。操作してみると、Wizardryに慣れた人は「もう壁か」とこぼしてしまうくらい、よく壁に当たります。近くにある壁が遠めに見えるためです(キャラクタの位置を示すキャラクタ画像が欲しいところです)。

■ 迷路が広く感じられる

迷路そのものが物理的に広くなっているので、慣れるにつれて次第に、広大で開放感のあるマップであることが実感できるようになるのではないかと。

この方法をとると、ひらけた場所から1ブロック幅の通路に入り込んだときに、とてつもなく「窮屈」に感じられるようになります。ですので、通路幅には3ブロック程度を割り当てて、標準サイズの部屋には7×7ブロック程度を割り当てるといった想像の拡大が必要になります。

逆に言えば、広いエリアと狭いエリアを使い分けて迷路を設計することができます。

Wizardryでは、基本的には1ブロック幅の通路だけが「通路」でしたから、広狭の感覚がゲームの間じゅう一貫していました。現在は巨大なメモリを搭載したパソコンだらけなので、データ量的に巨大迷路を設計しても困らない運用が可能だと思います。

■ ワイドモニタに適応

この手段を選ぶもう一つのメリットとして、画面の表示環境が変わってきたという時代背景があります。横長の液晶モニタが増えてきている点です。

横長のモニタに、このタイプの表示方法は適しています。従来のゲームに多い、4:3の縦横サイズ比を持つ窓のアプリケーションでは、広角の視野はなかなかポテンシャルを発揮できません。従来型の画面で表示した場合、以下のようになります。

上の画像は、Desigeonのレンダリング結果を縮小して明るくしたもので、はめ込み合成は行っていません。

開いた上下のスペースを、パラメータ情報の表示などに活用する目的を持たせることで、ある程度無駄をなくすことはできますが、視覚的情報を欠落させることなく縦横比を変えずに迷路部分を「拡大」することはできません。無機質で、絶望感漂うこの手の世界を表現するには、横長のモニタの方が適していると思います。

■ 欠点

欠点としては、以下のものが考えられます。

  • 迷路を編集する労力が増す(データ量が増える)
  • 方位を切り替えるとき、視覚的情報の「差分」が大きいため、プレイヤーが位置関係を把握しづらくなる

要するに、制作作業が大変になるのと、操作がし辛くなります。

特に後者は辛いです。慣れるまでかなりの時間がかかると思います。

視界を左右に切り替える際、90度ぶんを一気に切り替えるのではなく、徐々に角度をずらしていき、0.5〜0.8秒ほどで90度に達するよう、アニメーションさせれば問題は解決すると思います。ただ、3D酔いする人が続出すると思いますが(それ以前に、大変そうなのであまりやりたくない……)。

天井を高くして、奥行きを広める

迷路は現在の広さのまま、表現だけを変える方法です。

変更するのは、天井のみでも奥行きのみでもいいです。

天井の高さは最大で無限大にします。天井の高さが無限の場合、壁は画面を上部まで貫く形になります。以下の画像は、天井を無限にしてみた例です(奥行きは従来通り)。

上部の遠近感が乏しくなる分、位置関係は掴みづらくなりますが、ダンジョンの迫力が増して臨場感が増している……と、思います。

これで扉を小さくすれば、だいぶ自分がちっぽけに見えるのではないかと思います。


迷路の雰囲気作りについては、視界やスケール感だけでなく、さまざまな視点から分析してみたいところですね。

昨今のファイナルファンタジーのように、広大なマップを3D視点で縦横無尽に駆けめぐる世界もOKかと思います。DirectXを使用していないDesigeonにはきつそうですが。