格の高い大学生

昔アルバイトしていた職場で、社員の若い女性から「熊ちゃんってバカなのか頭が良いのか分からない」と言われたことがある。これを聞いて、当時ちょっと戸惑った。

その職場での私は、バカだと思われそうなことはたくさんした覚えがある。だからいろいろな人にナメられたり、バカだという噂が広まったとしてもおかしくない。

だけど、上記の表現によれは、それはちょっと違うということになる。どうやら私は、「頭が良いかも」と思わせるような人間でもあったらしい。

戸惑いつつもちょっと嬉しくなって、「じゃあ僕が頭が良いと思う時ってどんなときですか?」と尋ねたところ、「アルバイトだって聞いたとき」と返ってきた。これ聞いてもの凄く落胆。

その職場では、アルバイトは大半が大学生、パートは大半が主婦、そして社員は大半が高卒ということで、アルバイトと聞くだけで「学歴がいい」と思われるような環境にあった。

きっと、自分より学歴の高い人を見ると、考えるよりも先に「頭が良い」と思いこんじゃう人が多いんでしょうな。

だけどねえ。あんまりよくないよそういうの。人の頭の善し悪しなんて、そんなことで区別できるもんじゃないって。現に私みたいなのが大学生やってるんですよ。まあ私は三流大学に在籍していたし、すべての大学生がこんなだとは言いませんがね。

そんな会話からしばらく経ったある日、アルバイトの男の子が新人として入ってきた。後輩が入ってきたと聞いて、私は喜んで話を聞きに行った。

彼に出身大学は?と尋ねたら「東京大学です」と返ってきた。彼は頭が良さそうだった。聞いただけで悔しくなった。以降、新人のバイトに出身大学を聞くことは二度となかった。