難易度の重要性

難易度って、それ単体は重要なことではないだろう、と感じた話。

今日は途中で話のテーマを変えたので、無駄に長いです。いつものことです。ふふ、すいません。

ノーヒントで攻略した大衆向けコンピュータRPGって、考えてみたらない

ノーヒントで攻略した(俗に言う「クリア」状態に持っていった)大衆向けコンピュータRPGを経験したことがありません。クリアまでの課程で、必ず攻略情報に触れてしまう。

  • 友だちとの会話で、さりげなく攻略情報が耳に飛び込んできてしまう
  • 攻略本を買ってしまう
  • 雑誌の攻略記事を読んでしまう

著名なゲームほど露出が激しいため、どこかで攻略情報に触れる機会ができてしまう。面白いと感じたゲームは攻略本も買ってしまうため、さらに情報が溢れる。ウィザードリィシリーズだとか、ドラゴンクエストシリーズだとかはその典型だった。

著名ゲームほど難易度が下がる法則。マイナーゲームは少し難易度をダウンしておかないと、皆さんがついてこられません。まあそれはさておき。

著名ゲームって、攻略情報がないと攻略が難しくないですか

マイナーどころも含めれば、『えにっくすくえすと』はノーヒントで攻略しました。これ、もちろん当時のエニックス製、PC専用RPGですよ。タイトルを聞いただけで内容を思い出したあなたとは友だちになれる気がする。本編のADVは語り尽くせない程いい出来でした。しばらく他のギャルゲ遊べませんでしたよ……。と、脱線してしまった。

いま考えてみると、攻略情報に触れてしまったゲームは、独力で攻略することは難しいと感じるものが多かったように思う。『ドラゴンクエスト2』と『ウィザードリィ』はダメだった。別にクリアする自信がない、というわけではなくて、気力が続かなくなるのだ。気力が潰えるのなら、クリアできないのと同じこと。難しすぎるのと同じこと。

で、攻略情報がなかった著名作が『ファイナルファンタジー8』。これは結局、PSの時代には頓挫したんだけど、五年くらい経ってから、PC版を購入し直して、改造してクリアした(今は改造などしなくても遊べる)。攻略情報を知ったあとは、素晴らしいヤリコミゲームだと思った。その前日までは「投資を取り戻す」という意地だけで遊んでた。

まあFF8は特殊例としても、著名作品をノーヒントで終わらせようとすると、意外に難しいという感触を持っています。

エロゲは低難易度に作られている気がするが、それだけじゃないっぽい

一方、攻略情報なしでクリアしたRPGは、いわゆる「エロゲ」についてならたっぷりある。とりわけ、老舗と言われるエロゲメーカーの出すRPGには、面白いゲームが多い。この理由は、ゲームバランスも良い形で作られているものが多いなと感じるんだけど、それだけではない。

エロゲRPGは大抵、ストーリーが露骨なご都合主義だし、主人公が変だし、ゲーム性も単純なものが多いんだけど、シンプルなルールの中にひねったゲーム性を入れてあったり、難易度を手頃にしてあったりして、つい遊び込んでしまうようにできている。

見栄え良く見せようとした著名ゲームというのは、思い切ったことができないんですな。女の子モンスターを捕獲する機能とか、戦闘中に一枚絵つきのイベントを割り込ませるとか、そういう思いつきがない。入れたら別の問題が起きるかもしれない。

一般向け著名作はあくまで、綺麗にバトルが終わるようにできてる。ジャンケンは最初から最後まで、正しいジャンケンでなければならない。グーを出したコブシが爆発したりはしない。チョキを出しても突きユビしたりはしない。ジャンケンが野球拳に変わったりもしない。そういった「ひねり」が加えづらい。思いつきにくい。

そしてもちろん、一般向けのものにはエロもない。

目的意識の植え付けまで含めて「難易度」のような気が

基本的なことなんだけど、どんなゲームでも遊ぶ気力を植え付ける工夫って欲しいですね。

数値的に狙った難易度に調整することより、「あれが欲しいから、あれを見たいから、あれをやりたいから」という思いをプレイヤーに植え付けることの方が重要な気がします。

先の飛躍が想像できると、ちょっとくらいゲーム難しくても研究するんですな。必死で。あるいは、ちょっとくらい簡単すぎてもたいした問題じゃなかったりする。ささやかな不満が残るだけ。で、「面白かったけど、○○が不満。続編では改善して欲しい」ってお決まりの要望が出ておしまい。

ウィザードリィでは「村正」が欲しかった。ドラクエ2では弟や妹に会いたかった、船が欲しかった、ロンダルキアの先が見たかった。エロゲでは女の子モンスターを捕獲してイベントをコレクションしたかった。

ウィザードリィでは攻略情報が溢れてたから、「村正」を目標にできた。これは、友人との会話や攻略本が契機だった。ということは、マイナーゲームでは「村正」を用意すればみんなが遊ぶってワケでもないんだろう。

ドラクエ2でも事前情報を得ているから、兄弟捜しや船探しに出かける。あるいは、ロンダルキアを見て圧倒されて、「なにくそ」という心意気を植え付けられる。あれは単に難易度を上げただけではダメそうだ。どうして落とし穴に落ちてもヘコたれず何度も挑戦するのか、ゲームの作り手は研究して欲しい。いや、自分でしないと。

エロゲには、それ自体の事前情報は少ない。友人ともあまり会話しない。「18禁」というフラグが、すでに男性の期待感を高めているのが大きい。だから、ウィズやドラクエより「やる気の植え付け」に関しては圧倒的に有利なのだ。男性プレイヤーには「18禁」と銘打って売るだけで遊んでもらえる。「18禁ロゴ」には「村正」並みの破壊力があるわけだ。脱がすために何百回もバトルする。難しかろうと知ったことか、って感じで。ただ、老舗メーカーの良作はエロパワーだけで誘惑してるわけじゃない。やっぱりいろいろ工夫して、作り込んでいる。

結局、難易度はさして重要じゃないんだな。必死にさせてくれれば結果として難易度が下がる。同じゲームでも気分次第で難しくも易しくもなる。先に進もうとする気にさせることが重要みたい。「見かけ上の難易度」も含めて、遊ぶ気にさせること、トータルで意欲を植え付けることが必要なんだと思った。のっけから難しそうと思われちゃ、やっぱりアウトだから、「見かけ上の難易度」も含めて、やる気の植え付けなのだ。

ゲームを遊ぶ気にさせられて、壁を突破できなければ今度は、史上最低のクソゲーとして名を残す。それは難易度が高すぎる。それは難易度を軽視しすぎてる。プレイヤーが手にした「やる気」によって、乗り越えられる程度の難易度にしなければダメだ。


エロゲとの比較によって、あらためてそんなことを思ったり。

数値ゲーム作ってると忘れそう

……と、なんか当たり前のことを書いたような気がするんだけど、数値ゲーム作ってると、上に書いたことを忘れそう。いや、いま作っている訳じゃないからなんとも言えないけれども。