ローレライ

映画『ローレライ』を録画しつつ視聴。

邦画としてはできがいい方だとは思うけど、期待したほどではなかった。方向性が中途半端だ。アクションはなかなか。大作という見方をせずに、できのいいアクションドラマという見方をした方がしっくりくる。

まず、映画の主旨が曖昧だ。女の子を守るという部分が核なのか、潜水艦の戦いを見せることが重要だったのか。両者がリンクして効果を上げたのなら文句はないのだが、爆雷・魚雷戦は終盤をのぞき追加部分という感じだった。そして女の子の存在感は薄い。

キーだったはずの紅一点の存在感が薄いと、場所的・時代的に違和感しか感じなくなる。それは女の子が現代的な美少女だからだ。昭和二十年の潜水艦内にいる美少女という設定が、ドンパチ映画としてはすでにリスクを抱えているのに、その“犠牲”を活かせていない。彼女の圧倒的な存在感が、時代を忘れさせてくれるほどの道具に徹していたならよかったのだが、女の子周りの表現は、ちょこっと特殊能力を見せたこと以外、ホームドラマでしかなかった。今回の映画では蛇足だったと思う。

ただ、アクション部分は、邦画としてはかなり頑張っていたように思う。正直なところCGにはかなり違和感を感じたが……、特殊な対潜弾やら無弾頭魚雷やら、なかなかやってくれるじゃないか。

最終的に私の目には、「原爆投下を阻止するために、飛行場のある島に潜水艦で突入した」というストーリーに見えた。憂国の軍人たちや女の子の存在は一体何だったんだ!という結論にはなってしまうけれども、アクションドラマとしては楽しめた。

コンテンツの作り方として、前半と後半で分けた方が良かったかも。暴走する軍人たちを倒して、潜水艦と女の子を守りきる前半部と、玉砕覚悟でテニアンに突入する後半部。それぞれ独立した目的を持たせて制作に集中すれば、いい演出を盛り込むことができたんじゃないかな。