遠足のおやつとRPG
コンピュータRPGの序盤、主人公は金欠状態にある。
世界を救う仕事を与えたゲーム中の王様は、勇者と称する主人公に対しあろうことか、雀の涙と呼べる程度の小遣いしかくれない。RPGにおいてプレイヤーが最初にやることは、わずかな資金のセコいやりくりであることに疑いの余地はない。
これはまさに「遠足のおやつ」ではないか。私が小学生の時は200円までだった。
問題はバナナをおやつ代に含めるか否かだ。仕事をくれた王様が、小遣いとは別にロングソードや薬草を支給してくれるかどうかにかかっている。これが死活問題であることは遠足前の子供と同じで言うまでもない。だから必死で大人を、いや王様を説得すべきなのだ。
そして、効率を重視して買い物を済ませたプレイヤーは、ついに旅立ちの時を迎える。未知のフィールドへ向かうのだ。
以上ここまで、遠足に行く子供と同じである。
ひょっとしたら昔のRPG制作者は、ゲームが子供向けであることを念頭に置いて開発したのかもしれない。
だとすれば、そういうシナリオは大人がプレイするには向かないんじゃないか。大人は給料をもらって、独身なら贅沢な食事をして、趣味で大人買いをして、ファッションに気を遣いつつ旅行に行ったりするものだ。
これをコンピュータRPGになぞらえると、王様に給料をもらって、レストランつきのホテルに泊まって、ポーションのフルセットを買って、格好いいスーツアーマーで身を固め、馬車でダンジョンや隣町まで運んでもらうという感じか。ここまでがレベル1主人公の最初の行動ということになる。
昨今のゲームプレイヤーには大人が多い。ゲーム制作者の方々にはぜひ、大人向けのシナリオで挑んでいただきたい。お待ちしております。