イメージ(魅力)の伝達方法

キャラクタの職業、出現アイテム、モンスターなどを魅力的に伝達するため、ゲームシステム上のいい仕掛け(表現)がないかと考えております。

結局、何を語っても決定打は「イラスト」ですかねえ……。

イラストにもいろいろあって、幾何学的な記号を組み合わせたシンボル、シルエットといったものでも、イメージの伝達に使えると思うのだ。いずれにせよ、デザインは必要だけれども。で、イラストの使用はその程度までが限度としよう。どうせ、ほとんどの利用者はイラストなんて用意できない。

イラストを除く武器は「文章」「レイアウト」「配色」「音楽/効果音」くらい。これらを駆使して魅力的にイメージを伝えることってできないものか。

イラスト以外の表現では、他のゲームにいいと感じる例が少ない。まあまあ良さそうなものは、アイテムの説明がゲーム中に表示される『ルナティックドーン2』くらいかな。直感。なんであれが良さそうに思えるんだろう。ウィンドウズ以降のルナドンはダメだと思う。理由は自分でも分からない。考えてみたい。

世界樹の迷宮』のような市販ゲームでも、スキル説明やアイテムの説明(CGがない)には魅力がない。ただ、アイテム名の前に表示されるアイコンは、分類を把握するために有効であると感じる。アイコンは欲しいな。

私は自作品を見るとき、いつも「他人がそのゲームを公開していたら、自分がそれをダウンロードして遊びたくなるか」という目で評価している。イラストなしのDesigeonの作品を見ても、私の食指は動かないと思う。そして仮にイラストを入れるとしても、現状は迷路とモンスターのグラフィックにしか対応していないから、職業とアイテムについてはイメージがプレイヤーに伝わらない。

特に決定的な問題は、キャラクタの職業のイメージだ。ウィザードリィ風ゲームでは入り口に当たる要素なのだ。モンスターとアイテムより重要である。

CG軽視のゲームになじめないこと

私が他のCG軽視ゲームになじめない理由の第一位は、なんと言っても操作性なのだが、その次あたりに来る理由は、RPGをうたったゲームにおいては、職業の魅力が伝わってこないことのようだ。

たぶん、職業の魅力云々というより、キャラクタへの感情移入が発生しないことが原因なのだと思う。たとえばウィザードリィ風ゲームの場合、キャラクタは職業の選択によりイメージの原型が形作られる。だから職業のイメージが曖昧だと、結果としてプレイヤーの中におけるキャラクタの造形がうまくいかない。

キャラクタの作成というものは、ゲームの最初に行う行為だ。そこが楽しくないのだから続きを遊ぶはずがない。よしんばそこをスキップして先に進んだとしても、形も性能もよく分からない道具をポンポンと操作する気になるだろうか。私はならないのだ。

「戦士」の説明文の例

例として、RPGによく登場する「戦士」の説明文をさらっと考えてみたのだが。

戦士
すべての武器を扱うことができる。HPがもっとも高く、防御力が高い。死にづらいので前衛に向いている。成長が早いため、手っ取り早く転職したいときにもお勧め

いくつかのRPGのマニュアルには大抵、このような説明が含まれていて、それは私の『かわいそうな王』においても似たようなものだ(私のマニュアルには職業固有の説明がないが、散らばっている説明をまとめても、同じような情報しか拾えない)。

始めてそのゲームに接するプレイヤーは、ゲームに関する知識がないので、上記の説明文を読んだだけでは、情報を効果的に受け入れられない。

  • すべての武器を扱えることの良さが分からない
  • 相対的に、他の職業よりどの程度死にづらいのか、そもそも、どの程度死にやすいゲームであるかという感覚を持っていない
  • 転職というものが、どの程度ゲームに影響を与えるものか、どのくらい活用していくべきものであるのか分からない

はじめてプレイヤーがキャラクタの職業を選ぶタイミングは、ゲームを始めた直後になる。しかし前述の説明文は、ある程度ゲームを知った人にしか理解できない内容になっている。

結果として、「戦士」に魅力を感じない。

職業を意識せず遊べるだけでは解決にならない

職業の選択に悩まなくても遊べるよう、配慮してある作品も存在する。『かわいそうな王』でも一部取り入れている。

  1. はじめからキャラクタが作成されている
  2. どんな職業を選んでも、問題の起きづらい難易度で遊べるよう設計されている
  3. 「職業のことを意識しなくてもかまわない」とマニュアルに書かれている

こうした配慮の行われたゲームでは、職業の説明文を読む必要はなく、ゲーム下手な人でもプレイを開始できるかもしれない。これらは、作業量の軽減に対する配慮なのだ。なるほど、面倒な操作を省いてすんなりゲームに入っていけるという点においては、いい配慮だろう。

だが、その配慮によって作成されたキャラクタをプレイヤーが操りたくなるかどうかは、また別の問題だと思うのだ。

特に最後の配慮がなされているものは、今回の記事の範疇を超えている。「職業(操作する道具の種類)のことを意識しなくてもかまわない」ゲームでまともなものと言えば、最近のファイナルファンタジーのようにキャラクタが有個性のゲームであるか、そのそもRPG以外であるかだ。

キャラクタが没個性のゲームで「職業を意識しなくてもいいけど、職業を選ぶ」ゲームは……面倒なのでノーコメント。

プレイヤーは、まず頭の中にイメージを作り出すことでキャラクタを作成し、パーティを編成し、攻略に取り組もうという気になるんじゃなかろうかと。その補助という目的のためには、上記の配慮は役に立たない。目的が異なる。

職業のイメージ伝達問題は全体のほんの一部

キャラクタの職業の魅力が伝わらない問題は、あくまでも一例だ。問題は職業以外にもあると感じた。

開発力の弱いゲーム(≒フリーウェアのゲーム)では弱くなりがちなイメージの伝達が、最終的なゲーム制作上の課題になっていく気がする。職業やモンスターなど、個別要素のイメージの伝達がうまくいかないことは、作品全体の魅力の伝達がうまくいかないことに等しい。

そこで冒頭に戻る。職業、アイテム、モンスターの魅力を伝えるいい方法がないか。将来的には考えてみたい。

結論は出ないかもしれないけど、いずれ考えて試してみたい。

結論が出なければ……対策を打てぬまま使うことになりますな……。シナリオ制作者の自己満足専用ツール。もともとニッチ路線のつもりで作っているのだから、それもありだとは思いますがね……その前に、ちこっと、考えてみようじゃないか……。