ミスティーブルーのOP

エニックス黄金時代! MISTY BLUE。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm158140

女性シナリオライタが作ってるんですよねこれ。好きなシナリオだった。腹立たしいほどしてやられたシナリオだった。

珍しいシナリオ

女性(シナリオライタ)と男性(プレイヤー)のすれ違いが面白い形で出たゲームだったと思います。

  • 演出がアダルトでおしゃれ
  • 男女のどろどろした関係を描く
  • エニックスなのにほとんどの女性キャラにベッドシーンが。女性に優しい主人公
  • しかし美人の元カノとの濡れ場だけない(←ポイント)
  • 悲劇的な結末だが、それは主人公のことではない
  • おまけゲーム「えにっくすくえすと」のクリア報酬はヒロインのヌード

シナリオはしんみり切ない締め方になっているのですが、おまけの「えにっくすくえすと」をクリアすると、一気に和みます。

そうじゃなきゃ救われない。

攻略できないヒロイン

「もっとモテて好きな男がいるのに、別れた男とよりを戻すなんて(元カレはいい人だけど)あり得ない」「悪い女の儚く切ない結末」という女性心理から導き出されたシナリオだと思う。

元カノは心が揺れ動きながらも、最後まで主人公のことは見ていなかった。

このためイケメン優男の主人公が唯一「性的に攻略できない」女性キャラクタが、もっとも美人のヒロインであり元彼女という、現代のギャルゲーマーを敵に回すような設定になっていたが、それだけにリアリティがあって、女性らしいシナリオだった。そのことをプレイヤーに伏せておくのが憎らしい。

ゲーム的には元カノとのエンディングがあるんだけどベッドシーンはなく、エンディングがあっさりしていて、しかもPC98版ではカットされていた。オマケ扱いなのだ。

当時、一体どうやったら元カノを攻略できるのか、大学で友達と議論になった。友達はPC88ユーザーで、私はPC98ユーザーだった。話が合わないわけだ。PC98版ひどすぎ。

元カノ嫌いのプレイヤーもいたでしょうが、多くの男性プレイヤーは、あの美人とよりを戻すために必死になったはず。そういう作者とのすれ違いにしてやられた。

作中でも主人公は元カノとの未練をかすかに引きずっていて、そこが男性プレイヤーとシンクロしていた。最初から最後まで、思わせぶりなところがあまりにもうまかった。

男性向けギャルゲではあり得ない。エニックスやるな!

BGMがいい

BGMは古代祐三サウンドボード2対応。私にとって古代氏の音楽は、イースでも世界樹でもなく、ミスティーブルーだったり。

ベッドシーンは女性視点も

ミスティブルーのベッドシーンは、女性の繊細なハートを表現するためのシーンになっている。男の側は「優しくするから辛いことは忘れてください」とばかりに包容力のある感じをうまく出していて、目の前の女性を精神的に支えるために表現されている感じだ。

エロゲではないので、優しい男性に抱かれる女性視点のグラフィックもあるのが特徴。体位がいくつも出てくるしそれが次々と切り替わるのでエロティックさはあるが、男性エロゲーマーが見れば戸惑いそうな(価値のない)アングルが多い。

場所もシチュエーションも綺麗なところを選んでいて、この辺にも作り手の感性を感じる。

パッケージがアダルト

パッケージの裏側だったっけ?かなり色っぽかったことを覚えています。エニックス製とは思えない。

男子中高生を誘ってるよねメインヒロイン。彼女とのベッドシーンだけないのに!

紹介サイトみつけた

紹介サイトがあった。

http://jennys.web.fc2.com/wingsoft/mm/misty.htm

アニメーションまでするこの表現力は当時としてはすばらしく、「思い出はいつもやさしい」に始まる切なすぎる回想、そして格好良すぎるオープニングにズルズル引き込まれてしまったことを思い出す。

思ったこと

テーマは思い出・友情・大人になったばかりの恋、って感じだろうか。まさに若者向けのシナリオでした。男性用の夢物語じゃなくて、若者向けの。

バックグラウンドが古くさいから、今さらプレイするのは好事家の域になる。だけどさまざまな表現が美しいことにかわりはないし、シナリオは現代人の方が琴線に響きやすい気がする。若者に忘れかけたひたむきさを、という感じか。

またミスティーブルーのように人間くささのある恋物語が出ないかなあ。

何でもない人間関係の中にもすれ違いとか失敗とかが混じっているから恋が素敵なんだと思う。ギャルゲの世界で障害というと、事故が起きるとか先天性の障害があるとか親・家柄が特殊だとか、強引な設定ばかりでね…(今はよく知らんけど)。

ギャルゲにも、弱い心と体当たりの恋と挫折感が欲しい。それなりに自然な人間関係においてそれを表現してみせて欲しい。